桂畑誠治氏【週明け大幅高の日経平均、戻り足は加速するか】(2) <相場観特集>

特集
2021年10月11日 19時45分

―米国や中国リスク懸念一服も、投資家の強弱観は対立―

週明け11日の東京株式市場は日経平均が大幅続伸し2万8000円台半ばまで水準を切り上げてきた。前週末の米国株市場ではNYダウなど主要株指数が冴えない動きとなったが、9月の米雇用統計発表を波乱なく通過したことで、足もとの市場のセンチメントは改善している。10月後半以降の相場はどういう波動を描くのか。ベテラン市場関係者2人に今後の東京市場の見通しと物色の方向性などについて意見を聞いた。

●「目先売り一巡から、リバウンドへ」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

東京市場は9月下旬から10月上旬にかけて急速な下げに見舞われたものの、前週後半から戻り局面に移行した。9月の米雇用統計に耳目が集まったが波乱要素とはならなかった。非農業部門雇用者数が市場コンセンサスを大きく下回ったものの、テーパリング開始が11月のFOMCで決定される可能性は濃厚であり、これについてはマーケットも織り込みが進んでいる。

米国では原油や商品価格の高騰を背景に一部でインフレを警戒する声もあるが、米長期金利が水準を切り上げているとはいっても、1.6%台にあることはインフレが一過性のものであるという認識を債券市場も示していることにほかならない。現在の長期金利の上昇は、2022年末の利上げを織り込む程度のレベルで株式市場の波乱要因とはなりにくいと思われる。また、当面の注目スケジュールとしては、今週13日に予定される9月の米消費者物価指数とFOMC議事録(9月21~22日開催分)のほか、15日発表の9月の米小売売上高などが挙げられる。FOMC議事録ではインフレに対する認識の変化があるかどうかを注視したい。

東京市場は衆院選が近づいていることで、選挙期間中は政策期待などから株価が上がりやすい環境にある。したがって米株市場がしっかりした値動きを維持できれば、東京市場でも日経平均のリバウンド余地が意識されそうだ。向こう1ヵ月の日経平均のレンジは深押しがあっても下値が2万7000円台前半、上値は2万9000円台半ばから後半をうかがう動きが予想される。

投資対象として有力視されるのは、足もと押し目を形成している半導体製造装置やシリコンウエハーなど半導体素材メーカーの押し目狙い。半導体需給の逼迫が続くなか、調整十分の株価は早晩見直される可能性があるとみている。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)

第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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