富田隆弥の【CHART CLUB】 「10月後半、日本郵政売り出しと総選挙を意識」
◆10月8日、OECD(経済協力開発機構)加盟国など136の国と地域が「法人最低税率15%」で最終合意した。ならば、日本の金融所得課税(約20%)もその水準に合わせるべきだと筆者は主張したい。
◆さて、自民党総裁選で岸田氏が勝利したのが9月29日で、10月4日に岸田内閣が発足した。だが、日経平均株価は9月28日の終値3万0183円から10月6日の安値2万7293円まで、わずか1週間余りで2890円(9.5%)も急落した。配当落ち(約180円)があったとはいえ、マーケットは岸田首相の誕生を望んでいなかったようだ。
◆その理由は、岸田首相が「金融所得課税の引き上げ」の必要性を総裁選で訴えていたからだ。大きく反応したのが外国人投資家で、10月1日までの1週間で1兆7569億円(現物+先物)も売り越した。ある市場関係者によると、「問答無用で投げ売りしてきた」という。この株式市場の急落に慌てたのが岸田首相で、10日に「金融所得課税に当面は触ることは考えていない」と先送りを強調した。
◆この発言を受けて、日経平均株価は落ち着きを取り戻した。チャートは52週移動平均線(14日時点2万8154円)で下げ止まり、戻りに転じた。2万8500円近辺は今回の急落で割り込んだ75日線や200日線、13週線、26週線など多くの移動平均線が集中しており、節目として一旦もたつくのは当然だが、1週間で2890円も下げた相場だ。反発するなら、半値戻し(2万8738円)から3分の2戻し(2万9219円)を試してもおかしくない。
◆総選挙が10月31日に決まったが、それとは別に10月下旬に政府が保有する「日本郵政 <6178>」の株式の第3次売り出しがある。これが10月後半のポイントの1つになると見ている。なにしろ、国内で7億7060万株(約7000億円)という大規模な売り出しであり、冴えない相場下でこれを売りさばく証券会社の苦労は測り知れない。
◆ならば総選挙も控えて、政府がここから「株高」の演出に尽力してもおかしくない。先行きはともかく、10月後半は政策相場の行方に注目してみたい。
(10月14日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース