明後日の株式相場に向けて=百花繚乱の様相を呈す「メタバース関連」

市況
2021年11月2日 17時00分

きょう(2日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比126円安の2万9520円と3日ぶりに反落。前日に先物主導で急騰しており、きょうは当然の上昇一服といってよい。加えてあすは文化の日で休場、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見というビッグイベントも控え、ここでポジションを積み上げる必要性はない。もっとも佳境入りとなっている国内企業の決算発表は強い数字が目立ち、先行きに自信を持たせてくれる。当面は祝日明けの4日にトヨタ自動車<7203>の決算発表が予定されており、これが前半戦のヤマ場としてマーケットの注目度も高い。

個別では、「COP26」絡みで脱炭素関連の物色人気は一つの流れだが、そうした国策テーマとは別に市場の視線を集めているセクターがある。ここにきてメタバース関連の範疇に属する銘柄群に燎原の火のごとく投資マネーが広がっている。米フェイスブック<FB>が前週28日付で社名を「メタ」に変更したことが号砲となった。同社のザッカーバーグCEOはメタバースでのアバターを使ったコミュニケーションサービス開発に傾注しており、その意気込みをそのまま反映したような新社名である。東京市場でも“投機性強めの資金”の動向に少なからぬ影響を与えている。9月末から10月初旬にかけて開催された「東京ゲームショウ2021」でも「VR 展示」がクローズアップされており、これも今回のメタバース相場の伏線となった格好だ。

以前に物色人気を博したNFT関連もそうだが「異次元領域でちょっと分かりにくい」部類のテーマというと怒られそうだが、この種のテーマは業績があまり良くないゲーム周辺株に投資マネーが集まりやすい傾向がある。「業績低迷が常態化している銘柄は、機関投資家が保有していないことで戻り売りを浴びにくく需給的に枯れている」(中堅証券マーケットアナリスト)という指摘があるが、仕掛ける側としてはそれなりに種玉もあり、いったん火がつくと上げ賛成となりやすい。

ただし、値を飛ばすと今度は空売りの対象となるため、反動安に対する注意も当然ながら必要となる。株価がたとえ急騰しても、ファンダメンタルズが伴わなければ砂上の楼閣であり長続きはしにくい。

現在、メタバース関連もしくはその周辺(VR・ARなど)に位置する銘柄で勢いのあるのは、まずメタバースファッション事業への進出で注目されたシーズメン<3083>、そしてメタバース型バーチャルイベントサービスの提供を今月からスタートさせたシャノン<3976>。シーズメンはきょうで4連続ストップ高、きのうときょうはザラ場中に商いが成立しない状態にある。また、シャノンもここ数日に商いを急増させ一気に株価水準を切り上げており、きのうの前場中ごろからカイ気配モードで、きょうまで連日のストップ高を演じた。このほか株価低位のメディア工房<3815>や、きょうは長い上ヒゲをつけたがシリコンスタジオ<3907>なども人気化している。エスユーエス<6554>も一時値幅制限上限に張りつく場面があった。前日に発表した決算が好感されストップ高を演じたIMAGICA GROUP<6879>もこの一角に属する。

業績面で安心感があるのが、大幅増収増益トレンドが続いているエムアップホールディングス<3661>。株価も新値街道を走り、4000円大台乗せにあと一歩と迫っている。CRI・ミドルウェア<3698>も底値圏からの戻り急で5日・25日移動平均線のゴールデンクロスを示現した。8月にメタバース事業への参入を表明したグリー<3632>は同テーマの先頭集団を走るが、今週末5日に決算発表を控えていることで、決算後の動きを見極めてから参戦を考えるのが実践的と思われる。株価がまだ動意をみせていないものでは、デコメールやLINEスタンプを手掛け、M&A戦略でVR・AR事業参入に目を光らせるアイフリークモバイル<3845>なども人気化素地がありそうだ。

あすのスケジュールでは、国内は文化の日で祝日となりマーケットも休場となる。海外では、10月の財新中国非製造業PMI、9月のユーロ圏失業率、10月の米ADP雇用統計、10月の米ISM非製造業景況指数、9月の米製造業受注のほか、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表とパウエルFRB議長の記者会見にマーケットの関心が高い。また、米国の主要企業の決算発表ではクアルコム<QCOM>などが予定される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2021年11月02日 17時00分

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