【村瀬智一が斬る!深層マーケット】決算通過後は改めて経済対策などへの期待感が高まりやすい
「決算通過後は改めて経済対策などへの期待感が高まりやすい」
●好決算ながらも利益確定の売りに押される銘柄も目立つ
10月31日に実施された衆院選挙において自民党の議席数は当初予想されていたほど落ち込まなかったばかりか、単独で絶対安定多数を確保する結果となった。事前の報道では過半数は微妙と伝えられていただけに、これがサプライズとなり、週明け11月1日の日経平均株価はマドを空けて上昇し、一気に2万9000円水準を上放れた。
その後も株式市場は米連邦公開市場委員会(FOMC)など重要イベントを無難にこなしているが、国内企業の決算発表が本格化しており、依然として積極的にはポジションを傾けづらい需給状況である。特に、好決算ながらも利益確定の売りに押される銘柄なども目立ち、決算反応を見極めたいとする様子見ムードにつながっている。
来週は決算発表がピークを迎え、週を通じて1700社近い発表が予定されている。そのため、決算を手掛かりとした個別物色が中心になりやすいだろう。とはいえ、決算通過後は改めて経済対策などへの期待感が高まりやすい。足元では政府与党が18歳以下に10万円を一律で支給する方針で検討していると報じられており、経済対策に関連したテーマ株などが投資家の関心を集めやすいだろう。
●来週の活躍期待「注目5銘柄」
◆CKD<6407>
自動機械装置や空気圧機器・流体制御機器など幅広くFA機器の製造・販売を手掛ける。製造業の自動化・省人化需要の高まりに加え、半導体設備投資などが拡大し、国内外の製造業の設備投資は着実に回復。8月11日に発表した2022年3月期第1四半期(4-6月)の連結営業利益は、良好な事業環境を背景に前年同期比3.5倍の44億円で着地。併せて通期の同利益を従来予想の110億円→145億円に上方修正しており、11月12日に予定される第2四半期決算での好進捗が期待される。株価は10月の2100円割れ水準でのボトム形成からリバウンドを継続しており、9月戻り高値の2627円に接近。
◆SBテクノロジー<4726>
クラウド、 セキュリティ、IoT、ビッグデータなどの分野でソリューションサービスを提供。次期自治体情報セキュリティクラウドが周辺案件を含めて受注が好調なほか、保守的としていたエンタープライズ顧客のIT投資が堅調に推移している。10月27日に22年3月期第2四半期(4-9月)累計決算を発表。連結営業利益は前年同期比38.2%増の22億円に拡大して着地した。併せて、通期の同利益を従来予想の43億円→46億円に上方修正している。株価は上方修正を受けてマドを空けて上昇し52週移動平均線水準を捉えてきており、1月の年初来高値(3675円)を意識したトレンド形成に期待。
◆TOWA<6315>
半導体製造関連装置大手。樹脂封止装置が主力。樹脂によって半導体と外部を電気的に絶縁して封止するトランスファ方式によるモールディング装置(樹脂封止装置)を販売する。精密金型製作にも強み。8月6日に発表した22年3月期第1四半期(4-6月)の連結営業利益は前年同期比10倍の27億円だった。11月8日に第2四半期の決算発表が予定されている。世界的な半導体不足への対応と今後の需要拡大を見込んだ設備投資意欲の高まりにより、当面、好調な受注環境が続くと期待される。株価は2200円辺りでの底固めから足元でリバウンドを継続。
◆野村マイクロ・サイエンス<6254>
最高純度の水を提供する超純水製造装置の開発、販売を行う。微量金属除去フィルターや超微量分析技術、超高純度薬品、特殊工場排水処理、注射用水製造装置などを手掛ける。国内外の水処理装置案件が順調に進捗したほか、韓国・台湾から大型水処理装置を受注したことなどを背景に、10月26日に22年3月期の連結営業利益を従来予想の36億円→42億円に上方修正し、一転して7%増益を見込み、2期連続で過去最高益を更新する見通しとなった。12日に予定している第2四半期決算でのサプライズは期待しづらいものの、株価は26週移動平均線を支持線とした上昇トレンドを形成。
◆ウィルグループ<6089>
家電量販店などにおける販売業務の支援を行うセールスアウトソーシングのほか、コールセンターアウトソーシング、製造業の生産工程において生産性向上を実現するファクトリーアウトソーシング、介護ビジネス支援などを手掛ける。8月6日に22年3月期第1四半期(4-6月)決算を発表。連結営業利益は前年同期比14.9%増の11億円で着地。併せて通期の同利益を従来予想の34億円→40.5億円に上方修正し、一転して0.5%増益見通しとなった。スタートアップ人材支援領域、海外WORK事業の人材紹介売上が好調に推移している。第2四半期決算発表は11月9日に予定されている。株価は高値保ち合いを継続しており、13週移動平均線を支持線としたリバウンドに期待。
2021年11月5日 記
株探ニュース