【植木靖男の相場展望】 ─各業種の主力株、ユニーク株を狙え!
「各業種の主力株、ユニーク株を狙え!」
●米国株は一本調子の上昇から乱高下相場へ
日経平均株価は上げるでなし、下げるでなし、いわゆる方向性のみえない漂流中という様相にあった。投資家の間にはどちらかはっきりしてくれ、との不満が積もっていた。
ところが、こういう状況が極限に来ると突然、目の前が開けてくるから不思議だ。その理由がなにかは、誰にも分からない。岸田内閣の政策期待だとか、企業業績がどうだかなどは後付けの材料である。理由がはっきりしない中で株価が局面転換をみせるのはよくあることだが、こうした商状は上げたときにはさらなる上昇が期待できる一方、下げた時は大いに警戒しなくてはならない。
おそらく結論は、需給の変化とみられる。ただ、誰が買い越し、売り越したとしても、「なぜ?」という疑問は残る。
ともあれ、局面が転換したことは事実。仮に海外筋が買ったとすれば、米国株について考えてみる必要があろう。先般の米FOMC(連邦公開市場委員会)ではテーパリング開始が発表された。内容はほぼ想定通りであった。つまり、来年央には国債などの買い入れ額がゼロになるよう段階的に減少させていき、その後はインフレの情勢を見つつ、政策金利の引き上げを行うというもの。
米国株は22年半ばまでは量的金融緩和が続くことで、それまでに大天井をつけることになる。それがいつかは分からない。結局、これからはチキンゲームが始まることになる。弱気の投資家は早々に市場から離れ、強気の投資家はとことんギリギリまで行動しようとする。ということは、米国株価はこれまでのように一本調子の上昇は期待できず、乱高下が増えることになる。いわゆるプロ向きの相場展開となりそうだ。
●日米金融政策の違いが株価の動きを変える
日本株は今後どう動くのか。米国では中央銀行の金融政策は22年半ば以降、政策金利の引き上げ、すなわち、金融引き締め策に転じる。一方、日本は日銀が引き続き量的金融緩和策を維持する方針だ。両国の金融政策が異なってくる以上、株価の動向も変わってくる。結論から言えば、米国株が下がっても、日本株は多少お付き合いはするが、米国株ほど下げなくなる、ということだ。
日本株を超短期でみれば、戻り相場の肝である水準は2万9500円処。この水準を数本の連続陽線で突破すれば、その後は3万円、いや9月の年初来高値(3万0795円)すら上抜く可能性もあろう。逆に、11月上旬のような顛末では再び下値を模索することになる。
11月11日、12日と連続して陽線をみせ、2万9500円処を抜いてきただけに、11月第3週は大きなヤマ場となりそうだ。特に週初に陽線となって上昇することを期待したい。
では、ここからの物色の流れはどうみればよいのか。米国では上げ相場の最終段階に入るとみられ、自ずと乱高下局面になると考えられる。ある業種、銘柄群が一本調子に上昇することはなく、大晦日の紅白歌合戦のように最後にこれまで登場した歌手が総出となり、しかし僅かに顔をのぞかせるといった単発的な上昇で、幅広い業種が物色されよう。
しかし、日本はコロナ禍からの景気回復が周回遅れとなっており、これから本格上昇を狙うというからには、各業種においてユニークな存在である銘柄やトップの主力株に上昇してほしいという期待感がある。
そこで注目したいのが、日立製作所 <6501> 。結構上がっているようにみえるが、総合電機のトップとしては出遅れでもある。構造改革の先駆者であり、業績面、PERからみても申し分ない。
ルネサスエレクトロニクス <6723> もおもしろい。ようやく飛躍の緒についた感がある。将来性は大きい。
また、日本電気硝子 <5214> も妙味がありそうだ。結晶用基板の大手であり、業績上方修正と自社株買いで生き返った感がある。
2021年11月12日 記
株探ニュース