ナノキャリア---2Q減収も計画通りの進捗、患者登録が順調に進捗する後期臨床開発に集中
ナノキャリア<4571>は12日、2022年3月期第2四半期(21年4月-9月)決算を発表した。売上高が前年同期比30.5%減の1.34億円、営業損失が10.32億円(前年同期は5.10億円の損失)、経常損失が10.23億円(同5.27億円の損失)、四半期純損失が9.75億円(同20.82億円の損失)となった。今期本格的に立ち上がったVB-111およびNC-6004の後期臨床試験が順調に進んでいることから、計画通りの研究開発費が計上されている。
臨床パイプラインについて、遺伝子治療製品 VB-111は、現在、プラチナ製剤抵抗性再発卵巣がんを対象とした国際共同第3相臨床試験が実施され、目標症例数400例は今年度中に登録数完了を見込んでいる。国内の目標症例数は30例で、2021年10月現在で50%以上の症例登録を完了している。
ENT103は、国内で中耳炎を対象とした第3相臨床試験で主要評価項目を達成した。現在、年度内の製造販売承認申請に向けた準備を進めている。
NC-6004(シスプラチンミセル)は、頭頸部がんを対象に、免疫チェックポイント阻害剤「キイトルーダ(R)」との併用による第2相臨床試験を実施しており、目標症例数の約90%完了しており順調に進捗している。
NC-6300(エピルビシンミセル)は、米国で軟部肉腫を対象に第1・2相臨床試験を実施中で、血管肉腫を対象とした例数追加試験において良好な結果を得ており、軟部肉腫に対するオーファンドラッグの指定及び、血管肉腫を対象に、ファスト・トラック指定を受けた。
NC-6100(SRN-14/GL2-800)は、乳がんの約50%で過剰発現する転写因子PRDM14に対するsiRNA医薬として、2020年9月より医師主導第1相臨床試験を実施している。
パイプライン拡充については、新たなモダリティである核酸医薬品の研究を推進している。アカデミアとの共同研究や企業との協働により新規パイプラインの拡充を推進している。脳腫瘍を対象とした長鎖非翻訳RNA TUG1に対するASO(アンチセンスオリゴ)医薬は、日本医療研究開発機構(AMED)の革新的がん医療実用化研究事業に採択されている。軟骨の増殖・分化に関わる転写因子RUNX1のmRNA医薬は、AMEDの医療研究開発革新基盤創成事業に採択されている。
2022年3月期通期の業績予想については、売上高が前期比27.2%減の2.28億円、営業損失が18.04億円、経常損失が17.51億円、当期純損失が17.34億円とする期初計画を据え置いている。同社は成長戦略として、製造販売承認申請/ライセンスアウトを加速し、収益化を急ぐとともに、新しいモダリティで新たな市場を切り開くとしている。
《YM》