明日の株式相場に向けて=主力株の急所と材料株の視点
きょう(25日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比196円高の2万9499円と反発。前日は先物に引っ張り倒される形で日経平均は470円あまりの急落に見舞われた。きょうはその反動で戻り足に転じたが、上げ幅は前日下げた分の半分以下にとどまった。売買代金も2兆1000億円台と8月27日以来3カ月ぶりの閑散相場となった。
日本時間今晩の米国株市場は感謝祭により休場となる。海外では欧州中心に新型コロナウイルスの再拡大で、最高値圏を走っていたドイツ株がバランスを崩すなど不安材料もあるが、米国株市場は新型コロナの影響を警戒しながらも頑強な値動きをキープ。巷間ではリベンジ消費の花が咲こうとしている。いうまでもなく感謝祭の翌日である26日金曜日は「ブラックフライデー」だ。生保系エコノミストは「供給面での制約(品不足)やインフレの影響はあるものの、29日のサイバーマンデーも含め、かなり良い数字が期待できるのではないか」という見解を示す。物価高に賃金上昇が追いついているとはいえないが、消費熱は日本とは異なりかなり高いようだ。ひと頃のスタグフレーション懸念が後退していることで、米株市場も年末ラリーが期待できるとの見方が強まっているようだが、果たしてどうか。
個別株の動向に目を向けると、材料株花盛りではあるが、相変わらず資金の回転は速い。中小型株は上げ足も鮮やかだが、その分だけ反動の下げもきつくなりがちだ。年末年始にかけて中期で全体相場が堅調とみるなら過剰流動性の恩恵を受けやすい主力大型株が有利である。例えば今なら、円安を追い風に上場来高値への再チャレンジをうかがうトヨタ自動車<7203>や、そのグループ会社であるデンソー<6902>。あるいは半導体サプライチェーン構築で国策的に存在感が高まっているソニーグループ<6758>ということになる。また、市場筋の話では、日立製作所<6501>に対する海外機関投資家の評価がにわかに高まっているという。こちらも上場来高値圏で頑強な値動きを続けている。新型コロナウイルスの飲み薬に経営資源を投下する塩野義製薬<4507>も最高値街道。機関投資家マネーの継続的な流入が観測されているもよう。そしてもちろん、これまで同様に東京エレクトロン<8035>やレーザーテック<6920>などの半導体製造装置の主力株もこの範疇に含まれる。
ただし、主力どころの銘柄はどうしても全体指数に連動しやすい。買い主体である海外機関投資家の動きに委ねる部分が大きく、したがって日経平均を語る前に米国の主要株指数の上昇トレンドが維持されることが株高の条件となる。
一方、中小型株に目を向けると、目先は足の軽いところでホットリンク<3680>の押し目買いに一考の余地。AI関連の一角でSNSを使ったマーケティング支援の先駆。ティックトック向けの新サービスも注目される。21年12月期は業績急回復が見込まれている。
また、半導体周辺の好業績株では、製造装置向けに直動案内機器が好調を極める日本トムソン<6480>。マド開け急伸後のもみ合いだが、2段上げの踊り場となっている可能性がある。PERに割安感があるほか、業績急好転を受けて年間配当もしっかり上乗せするなど、株主還元にも余念がない。
このほか、パワー半導体関連では三社電機製作所<6882>を改めてマークしておくところか。パワー半導体は脱炭素や電気自動車(EV)とも密接に関わる。半導体のなかでも価格が下がり始めたDRAMとは一線を画し、需給的に引っ張りだこの状態が今後も続く見通し。中長期的見地で同社の商機は高まりそうだ。
マザーズの材料株ではKudan<4425>が動兆しきりで注目。人工知覚技術の研究開発に特化し、独自のソフトウェア技術のライセンス提供を行う。リアル空間とバーチャル空間が地続きとなる、いわゆるメタバースの概念が世界に浸透し始めているが、その融合された空間に入り込んでいくアバターロボットで同社の存在性が高まる可能性が出てきた。株価は今月19日に上ヒゲでつけた4430円の戻り高値奪回が当面の目標となりそうだ。
あすのスケジュールでは、11月の都区部消費者物価指数(CPI)が朝方取引開始前に総務省から発表される。このほか、3カ月物国庫短期証券の入札も行われる。海外では10月の豪小売売上高など。また、米国ではブラックフライデー。(銀)