富田隆弥の【CHART CLUB】 「12月上旬がポイントに」
◆日本が祝日を迎えるタイミングで大きな材料が出てマーケットは荒れた。バイデン米大統領が「来年2月に任期が切れるパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の続投」と「備蓄原油の放出」を発表し、米国では一時、長期金利が1.69%台に上昇。為替は一時115円52銭までドル高(円安)が進み、原油(WTI)は75ドル台から79ドルに迫った。
◆22日に1万6212ポイントと過去最高値を更新していたナスダックは23日に一時1万5601ポイントまで下げ、そして24日の日経平均株価は一時561円安の2万9212円と急落した。ただ、マーケットは感謝祭に伴う米国休場(11月25日)を控えて必要以上に反応した可能性があり、ここは少し冷静に見ておくことも必要だろう。
◆24日のNYダウは9ドル安の3万5804ドルで引け、日足は割り込んだ25日移動平均線(3万5924ドル)に迫る戻りをみせる。一方、ナスダック(24日終値1万5845ポイント)は上抜いた25日移動平均線(1万5690ポイント)に近づき、日経平均株価(25日終値2万9499円)も上抜いた25日移動平均線(2万9353円)水準まで調整している。つまり、チャート的に株式市場は総じてスピード調整の動きにあると捉えることができ、12月相場に入る来週の動向が目先のポイントになる。
◆日本株は20日前後または月末に一服を入れる傾向がある。ヘッジファンドや機関投資家による月内決済の影響と思われるが、24日の調整はその一環であった可能性もある。米国のインフレ懸念や欧州の新型コロナ感染再拡大などの懸念もあるが、12月上旬は好調な年末商戦や近づくクリスマスを背景に株価は上昇しやすいタイミングだ。近くて遠い3万円だが、メジャーSQ(先物・オプション清算日)を10日に控えて日経平均株価が3万円に乗せるのならば、上昇に弾みを付ける可能性もある。いずれにせよ、12月上旬が1つのポイントになるとみている。
(11月25日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース