為替週間見通し:ドルはもみ合いか、米量的緩和の縮小ペース加速の可能性

通貨
2021年12月11日 14時26分

【今週の概況】

■オミクロン変異株の脅威低下で円買い縮小

今週のドル・円は強含み。世界各国で新型コロナウイルスの新たな変異株(オミクロン株)の感染増加が報告されているが、初期データによると新型コロナワクチンを接種することでオミクロン株に対する予防効果が高まることや、重症化のリスクは高くないことが確認されており、オミクロン変異株の感染拡大への脅威は低下した。米国株式の反発を意識してリスク回避的な円買いは縮小し、ドル・円は12月8日の取引で113円95銭まで買われる場面があった。

10日のニューヨーク外為市場でドル・円は、113円78銭まで上昇後、一時113円23銭まで反落した。この日発表された米国の11月消費者物価指数は10月実績を上回ったものの、おおむね予想通りだったことを受け、米国のインフレ率がさらに上昇する可能性は低いとの見方が浮上した。バイデン米大統領は「インフレはピークをつけたと考える」との見方を伝えたことから、リスク選好的なドル買い・円売りはやや縮小した。ただ、米国株式は強い動きを見せており、ドル・円は113円台前半で下げ渋り、113円40銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:112円61銭-113円95銭。

【来週の見通し】

■ドルはもみ合いか、米量的緩和の縮小ペース加速の可能性

来週のドル・円はもみ合いか。12月14-15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和策の縮小ペース加速に踏み出すと予想される。ドル買い材料となり得るが、1ドル=114円台に浮上すれば、心理的節目の115円や11月24日の高値115円52銭が意識され、利益確定を狙ったドル売りが一段の上昇を抑制しよう。

16日には英中央銀行金融政策委員会(MPC)と欧州中央銀行(ECB)理事会が予定されているが、ECBは大規模な金融緩和策を当面維持するとみられており、英中央銀行はウイルス感染の拡大を抑制するための行動制限強化に配慮して、早急な金利引き上げに慎重な姿勢を打ち出す可能性がある。そのため、ポンドやユーロに対してドル買いが強まりそうだ。この影響でドル・円の取引でもドル買いが優勢となりそうだが、米国などは北京オリンピックの外交的ボイコットを表明しており、米国とロシアの関係は改善していないことから、地政学リスクの増大も警戒されている。こうした状況下では目先的にリスク選好的な円売りは抑制される可能性がある。

【米・連邦公開市場委員会(FOMC)】(14-15日開催)

14-15日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では、政策金利の現状維持が決まる見込みだが、資産買入れの段階的縮小(テーパリング)のペースを加速し、来年2回の利上げに向かうか注目される。特に、インフレに関する認識が焦点となろう。

【米・11月小売売上高】(15日発表予定)

12月15日発表の11月小売売上高は、前月比+0.8%と予想される。10月は+1.7%と予想外に堅調となったことから、伸び率は10月実績を下回る見込み。ただ、市場予想とおおむね一致すれば、景気回復への期待が広がり、ドル買い要因になりそうだ。

予想レンジ:112円00銭-115円00銭

《FA》

提供:フィスコ

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