【杉村富生の短期相場観測】 ─2022年は日本株が見直されるタイミング!

市況
2021年12月12日 9時15分

「2022年は日本株が見直されるタイミング!」

●成長率、コロナ対応などを評価する局面!

日本市場は既報のように、底値を確認、反騰態勢を固めつつある。2022年は「トラは千里を走る」の兜町の格言通りに、明るい展開となろう。それに、日本株の出遅れは著しい。この修正に加え、日本株見直しの動きが強まるだろう。

直近の日経平均株価のPERは予想ベース13.8倍(実績ベースは18.6倍)、PBRは1.25倍にすぎない。安値比では株価が急騰したものの、株価指標は歴史的な安値圏にある。

ちなみに、単純比較は無意味とはいえ、NY市場(S&P500社ベース)のPERは20.8倍、PBRは4.98倍、世界平均(MSCIベース)のPERは17.8倍、PBRは3.13倍に評価されている。

もちろん、出遅れるにはそれなりの理由がある。いや、「あった」というべきか。すなわち、日本市場の地盤沈下(国際マネーの配分シェアに影響→MSCI指数採用銘柄の削減)、外国人の売り越し基調(今年1~11月は先物を含め、1.9兆円の売り越し)、岸田政権の政策に対する失望感(岸田ショック)などがあったと思う。

さらに、年前半はコロナ対応の不手際(ワクチン接種率の低さ)、中国景気の不透明感(恒大集団の経営危機)などが危惧された。しかし、ワクチン接種率(2回目)は77%と、アメリカ、ドイツなどを上回って、トップグループに躍り出ている。ブースター(3回目)接種も医療従事者を対象に始まった。いまや、コロナ対応の“先進国”である。

変異株「オミクロン」についてはファイザー<PFE>、モデルナ<MRNA>の「メッセンジャーRNA」タイプの新型コロナウイルスワクチンがブースター接種(イギリスが先行接種)によって、抗体の量が高まることが報告されている。

●国内勢に加え、外国人の本格参戦が迫る!

岸田政権はファイザーに追加のワクチン提供を首相自ら直談判したという。さらに、55.7兆円の景気対策を打ち出した。中国の中央銀行は預金準備率を引き下げ、景気テコ入れに着手している。

2021、2022年の経済見通しはOECD(経済開発協力機構)によると、世界景気は5.6%→4.5%と成長率が鈍化する予想となっているが、日本は逆に1.8%→3.4%と成長が加速する見通しで、2022年の成長率は9月に公表した2.1%の予想値から上方修正(プラス1.3ポイント)されている。これは国際マネーの運用姿勢に好影響を与えるだろう。

原油価格の高騰による恩恵を受けているオイルマネーの環流も見込める。すでに、欧州系ファンドの買いがみられるという。これは産油国のSWF(国家資産管理ファンド)の“先遣隊”ではないか。

一方、足元の需給面では外国人は相変わらず売り越しだが、信託銀行(公的年金?)、法人(自社株買い)、個人の買い意欲が強い。国内勢の出動である。外国人は前述したように、年明けとともに本格参戦が期待できる。

物色面はどうか。やはり、機関投資家が狙う収益力の強固な銘柄群に注目したい。コストアップ(エネルギー、原材料価格の上昇など)を吸収可能な企業だ。具体的にはトヨタ自動車 <7203> 、イビデン <4062> 、ベネフィット・ワン <2412> 、伊藤忠テクノソリューションズ <4739> などになる。

小物では青山財産ネットワークス <8929> [東証2]に妙味があろう。日本M&Aセンター <2127> を長期保有していた小型株専門ファンドが「日本M&Aセンターは時価総額が1.2兆円になり、小型株といえなくなった。その点、資本・業務提携先の青山財産ネットワークスは355億円とこれからの会社だ」と。

このほか、リチウムイオン電池(正極材)関連の田中化学研究所 <4080> [JQ]、夢とロマンにあふれているステラファーマ <4888> [東証M]、5G(次世代通信網)関連の日本電波工業 <6779>クラウドサービスのビジョナル <4194> [東証M]は引き続いて要注目である。

2021年12月10日 記

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.