【杉村富生の短期相場観測】 ─アクティビストが株式市場を救う!
「アクティビストが株式市場を救う!」
●自社株買いは年間30兆円ペース!
ここ数年、波乱相場の“救世主”は常に、自社株買いとアクティビスト(物言う株主)の暗躍である。今年4~7月(4カ月)の自社株買い公表額は10.5兆円に膨らんだ。単純計算すると、年間ペースでは31.5兆円となる。もちろん、実際は株式を取得しなかったり、株価が発表後に急騰したために、買い損なうケースがみられる。
しかし、年間20兆円ペースの自社株買い(実動ペース)の効果は大きい。ちなみに、2010年に開始された日銀のETF(上場投資信託)買いは累計37兆円に達したが、年間では最大6兆円(少ない年は3兆円)にすぎなかった。とはいえ、株価の下支え、および株価急騰の原動力になったのは疑問の余地がないだろう。
話題のキオクシアホールディングス <285A> [東証P]の場合、7月末に上限3000万株、8000億円の自社株買いを発表した。取得期間は8月3日~10月30日だった。マーケット関係者は「ゆっくり買うのではないか」と考えていたようだが、8月10日までに8000億円を実質的に使い切った、という。いや~、これは素晴らしいというか、見事である。
もっとも、取得株数は1613万株にとどまった。ただ、これはやむを得ない。会社側は「7月30日の安値3万6020円はともかく、なるべく安いところを」と考えたのだろう。なにしろ、6営業日でほぼ8000億円分を買ったのだ。平均買いコストは4万9586円になる。今後はこの水準が下値のメドになろう。
アメリカ市場では好決算を手掛かりに、AI(人工知能)向けサーバーのスーパー・マイクロ・コンピューター<SMCI>、AIクラウドのコアウィーブ<CRWV>が急騰している。半導体のマイクロン・テクノロジー<MU>は底打ち、反騰態勢にある。FRB(米連邦準備制度理事会)による9月利上げは「ほぼ消えた」といわれている。
●300兆円の資金が日本の資産を狙う!
さて、大手証券によると、日本で活動中のアクティビストの運用資金は18兆円程度という。しかし、これは信用できない。彼らのバックには米カーライル・グループ、KKR<KKR>、ブラックストーン<BX>、アジア系のPAG、カナダのBGOグループなど巨大資本(国際マネー)が控えている。日本に振り向けられている総資金量は「300兆円強」といわれている。だからこそ、企業買収、不動産の取得ができる。
まず、アクティビストが介入、経営改善を求める。具体的にはROE(株主資本利益率)の向上、増配などだが、真っ先に保有不動産の売却を提案する。サッポロビール <2501> [東証P]の恵比寿ガーデンプレイス(外資の買収金額4770億円)、西武ホールディングス <9024> [東証P]の東京ガーデンテラス紀尾井町(同4000億円)が好例だろう。
このほか、ラサ工業 <4022> [東証P]、エムスリー <2413> [東証P]、インフォマート <2492> [東証P]などで、新たな大株主に登場している。キオクシアホールディングスは8月3日現在、BCPEパンゲア・ケイマン2が筆頭株主になった。こちらは「純投資」と言っているようだが……。
彼らは昔、「物言う株主」と形容されたが、いまは違う。黙って株式を集め、それを国際マネーに売り渡すケースがある。医療機器メーカーのホギメディカルがそうだ。アクティビストのダルトン・インベストメントグループ、投資ファンドのグランサム・マヨ・バン・オッタールーが株式を取得、それをタネ玉にカーライル・グループがTOB(株式公開買い付け)をかけ買収した。要するに、外資に乗っ取られたのである。
だが、話はこれだけではない。TOBに応じた2社は巨額の利益を上げるとともに、非上場会社に出資したのだ。まあ、「トコトン、儲ける」というか、「食いついた獲物は絶対に離さない」ということ。いやはや、恐ろしい連中である。言葉は悪いが、ハイエナ?ハゲタカ?並みじゃないか。
丸千代山岡家 <3399> [東証S]、ソフトウェア・サービス <3733> [東証S]、シーティーエス <4345> [東証P]、デジタルガレージ <4819> [東証P]、三櫻工業 <6584> [東証P]にはキナ臭い動きがみられる。
ネクソン <3659> [東証P]は2026年12月期に期初予想の60円配当(前期は45円)を「475円(9月30日基準日の特別配当415円実施)にする」と発表、話題を集めている。
2026年8月14日 記
株探ニュース