突っ込み警戒感から自律反発の動きが強まる【クロージング】
21日の日経平均は3日ぶりに大幅反発。579.78円高の28517.59円(出来高概算10億1000万株)で取引を終えた。急ピッチの下げに対する反動から幅広い銘柄に買い戻しの動きが優勢となった。また、米半導体大手のマイクロン・テクノロジーは好業績見通しを背景に時間外取引で大幅に上昇しており、これを受けた米株先物が堅調に推移していることで、下げ基調にある今晩の米国株の反転期待も投資家心理を改善させた。ただ、クリスマス休暇シーズンで海外投資家の動きは鈍く、前引けにかけて28500円を回復した後は、28500円を挟んだもち合いが続いた。
東証1部の騰落銘柄は値上がり銘柄が1600を超え、全体の8割近くを占めた。セクター別では33業種すべてが上昇し、海運、その他製品、証券商品先物、ゴム製品、電気機器の上げが目立った。指数インパクトの大きいところでは、東エレク<8035>、ファーストリテ<9983>、アドバンテス<6857>、ファナック<6954>が堅調で、この4銘柄で日経平均を200円超押し上げた。半面、電通グループ<4324>、アステラス薬<4503>、出光興産<5019>、ニチレイ<2871>、日産自<7201>が小安い展開だった。
前日の米国市場は、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大懸念などから売りが先行し、主要株価指数は1%超の下落となった。ただし、日経平均は前日の下落である程度織り込んでいたほか、2日間で1100円超下落し、騰落レシオは売られ過ぎとみなされる70%に急接近していたため、自律反発を狙った買いが広範囲に入り、後場取引開始直後には28533.74円まで上げ幅を広げる場面もあった。
欧米では、オミクロン株の感染が拡大しているほか、海外投資家のクリスマス休暇入りを考慮すると、自律反発の域を抜け出たとみるのは時期尚早のようだ。また、感染拡大に伴って欧州の一部の国が都市封鎖に踏み切るなど、経済活動にも悪影響が出始めており、「再びコロナの感染動向に集まっている」とする声も聞かれる。コロナ警戒モードが続く間は、株価に底打ち感は出にくいだろう。
《FA》