あのリーマンを契機に日本株卒業、アメ株で3億円超えの技
いくぜ、アメ株! 二刀流の極め技 たぱぞうさんの場合-第1回
登場する銘柄
MSCI<MSCI>、オートマチック・データ・プロセシング<ADP>、アルファベットA<GOOGL>、インテュイット<INTU>、iS米国株<1655>、バンク・オブ・アメリカ<BAC>、シティグループ<C> |
アメ株投資で億を築いた専業投資家。2000年、初任給の20万円を原資に日本株投資を始め、08年のリーマン・ショックを機にアメ株を中心とする海外株投資にシフト。10年に1000万円だった運用額を17年に1億円、21年に3億3000万円以上に増やした。
19年に勤務先を退職して独立、専業投資家に転身した。足元では不動産投資、また投資顧問会社でアドバイザー業務も手掛けている。
GAFAM*やテスラ<TSLA>などの勢いもあって、最近増えつつあるアメ株投資。だが専業投資家のたぱぞうさん(ハンドルネーム)は最近のブームが起こる前の2010年からアメ株投資を始めている。それも、日本株に投じていた全資産をアメ株にシフトするという力の入れぶりだった。
当時は、まだ米国発の世界同時株安を引き起こした08年のリーマン・ショックの傷も癒えてなく、米ダウ工業株30種平均はショック前の水準を回復していなかった。そんな時期に、一部ではなく全ての資産をアメ株に張るのは、「無謀」と言われても仕方のないものだった。
が、「人の行く裏に道あり花の山」。皆が忌避する時にアメ株投資を始めたことで、足元のアメ株資産は3億3000万円以上に上る。10年当時に1000万円だったアメ株資産は33倍に膨らんでいる。
アメ株で億トレの地位を築いた原動力は、銘柄の選別はもちろん、投資環境の選別を意識してきたことだ。チャンスを見出すと、これまで上手くいっていた投資手法にあっさり見切りをつけ、戦場を変えて新たな手法を模索する。その姿勢が資産拡大のペースを加速させ、アメ株投資のいち早い着手につながった。
たぱぞうさんはどのような発想で資産を増やしてきたのか。そして行き着いた足元の投資手法はどんなものか。その中身を追っていこう。
*GAFAMはグーグルの親会社のアルファベット、アップル、旧フェイスブックのメタ・プラットフォームズ、
アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトの略
2000年に日本株デビュー、そしてリーマン・ショック後にアメ株シフト
まず、たぱぞうさんの投資編歴を簡潔に振り返ると、大きく3つのフェーズに分かれる。第1フェーズは2000年~10年。まず日本株で投資家デビューし、20万円の元本を、元本の追加も含めて1000万円に拡大した。
そして第2フェーズがアメ株を中心に投資で億の資産を築いていく過程で、10年~15年頃になる。この時期はアメ株では銀行株の逆張り投資を行い、他にも新興国株の短期売買などをして1000万円を7000万円に増やした。
第3フェーズが15年頃から現在までで、個別のアメ株やETF(上場投資信託)などで3億3000万円以上に膨らました。
■たぱぞうさんの株資産拡大の歩み
2000年 | 日本株投資スタート。原資は20万円 デイトレード・スイングトレード中心 |
10年 | アメ株投資にシフト。運用額1000万円 米・銀行株に逆張り投資などを開始 |
15年 | 株資産7000万円に拡大 米国ETF、高配当株の長期投資開始 |
17年 | 株資産1億円達成 |
18年 | 高配当株から 成長株投資へシフト |
現在 | 米国ETFと米成長株の二刀流 アメ株資産は3億3000万円に拡大 |
資産拡大に貢献した個別株は、米ハイテクが中心
今回は第2と第3フェーズについて触れる。まずは第3フェーズに当たる足元の運用について見ていく。
2020年に襲ったコロナ・ショック後、たぱぞうさんがもっとも資金を投じたのがS&P500種株価指数に連動する国内上場のETFだった。
ただし、これは資産管理会社の設立などの事情もあってのことなので、ETF投資は後述し、まずは足元で運用している個別株について触れよう。
資産拡大に大きく貢献したのはMSCI<MSCI>、オートマチック・データ・プロセシング<ADP>、アルファベットA<GOOGL>、インテュイット<INTU>の4つだ。
いずれも18~19年にかけて購入し、足元でも保有している銘柄だ。株価は、18年の年初来から足元にかけて2~4倍超に伸びている。
■MSCI、ADP、GOOGL、INTUの株価パフォーマンス
注:2017年末=0%
銘柄選びでは定量面と定性面から成長性・安定性の2つをチェックする。
定量面で主に見るのは、
・売上高、EPS(1株当たり利益)、営業CF(キャッシュフロー)が右肩上がり
・売上高営業利益率が20%以上
の2つ。必ずしもすべてを満たす必要はないが、上場して年月が浅い企業は候補から外している。成長性と安定性を重視するたぱぞうさんにとって、過去の実績がわからない企業はそれだけでリスクに映るからだ。
先の4社は、おおむね上の基準を満たしていることを確認して購入したものだ。何年分まで遡るかは、厳密に決めていないが、現在は10年分を理想としている。
見極めのカギは、ビジネスモデルの優位性
大事なのが定性面だ。決算資料や業績のガイダンス、またニュースに目を通して成長を信じられる根拠があるかどうかを探る。基準の1つが、ビジネスモデルの優位性だ。
上の4社ではどんな点に注目したのか。
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