【杉村富生の短期相場観測】 ─ 株価は「最悪シナリオ」を織り込みつつある!

市況
2022年1月23日 9時15分

株価は「最悪シナリオ」を織り込みつつある!

●ウォール街では「さようなら、パンチボウル」?

厳しい相場である。外部環境の激変と先物に振り回されている。21日には日経平均株価が瞬間、前日比643円安の2万7129円の安値まで売り込まれた。この水準のPERは13.34倍、PBRは1.21倍だ。完全に、売られすぎゾーンだといえる。しかし、積極的な買い手がいない。チャーチストは「下値のメドは2万6600円絡み」という。

ウォール街では「さようなら、パンチボウル」とささやかれているらしい。パンチボウルとは酒を入れる容器のことだ。宴(パーティー)は終わったのか。FRB(米連邦準備制度理事会)は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に対応、猛烈な流動性の供給、超低金利政策を断行した。FRBの総資産は約9兆ドルに膨らんでいる。

市場に供給した資金はリーマン・ショック時の2.5倍の規模だ。その政策が変わった。テーパリング(資産買い入れ額の縮小)に続いて、利上げ、そしてQT(バランスシート調整→量的金融引き締め)だ。スピードが速い。リーマン・ショック時はテーパリング終了、数カ月後に利上げ(2015年12月)、QTは17年10月と時間をかけて行われた。今回はほぼ「同時」である。

マーケットが身構え、衝撃を受けるのは当然だろう。QE(量的金融緩和)とQTは目指す方向が180度違う。FRBは雇用の確保を捨て、物価の安定に全力投球する。株価はこのシナリオの“最悪”の状況を織り込み始めている。おそらく、利上げは年内に3~4回、QTの規模は3年間に3~4兆ドル(ウォラー理事の発言を基に算出)となろう。

●出遅れ、割安のダウの犬を狙う戦術!

これまで月間1200億ドルの国債、MBS(住宅ローン担保証券)を買っていたのが、逆に月間1000億ドル前後の売却(資金吸収)となる。あくまでも“最悪”のデータだが、「パーティーは終わりだ。電車があるうちに帰ろうじゃないか」と、リスク資産を減らす投資家心理は十分に理解できる。

ただ、状況は変わるし、波乱はチャンスである。NY市場ではダウの犬(Dogs of the Dow)のパフォーマンスが相対的に良好だ。これはダウ採用30銘柄のうち、出遅れ、割安の10銘柄で構成されている。具体的にはシェブロン<CVX>、IBM<IBM>、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス<WBA>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、スリーエム<MMM>など。

日本市場においては三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 、住友商事 <8053> 、野村ホールディングス <8604> 、ENEOSホールディングス <5020> などになる。PBRは0.4~0.8倍だし、配当利回りは4~6%と高い。当然、下値不安は乏しいし、地合いが好転した場合、真っ先に買われると思う。

小物ではテーマ性を有し、かつ好業績のグラファイトデザイン <7847> [JQ]、SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ <9478> [JQ]に注目している。

グラファイトデザインはゴルフブームのメリットを享受、2022年2月期の1株利益は67.1円(前期は19.6円)となる。配当は特別配当を含め35円(前期は20円)とする。PERは9.6倍。配当利回りは5.4%もある。

SEホールディングス・アンド・インキュベーションズはオンラインITセミナー(研修)業務が寄与し、2022年3月期の1株利益は39.5円(前期は25.6円)と予想されている。時価のPERは6.5倍にすぎない。やはり、地合い次第では大きく水準を切り上げるだろう。

2022年1月21日 記

株探ニュース

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