明日の株式相場に向けて=さらばコロナバブル

市況
2022年1月27日 17時00分

きょう(27日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比841円安の2万6170円と大幅続落。一時は2万6000円トビ台まで売り込まれる場面があった。前日の終値は2万7000円トビ台であったから、ここまでの経緯を知らずに、きょうの午後になって数字だけ眺めたら我が目を疑ったかもしれない。前日のFOMCを受けて米株市場は終盤軟化したが、ナスダック指数などはわずかながら小幅プラス圏で引けており、東京市場でも朝方取引開始前に市場関係者の間では2万7000円台攻防か、との見方も出ていた。ところが実際は、大台が一つ違う2万6000円台攻防というジョークのような展開である。

2020年2月下旬から3月中旬にかけて世界株市場は暴落を余儀なくされたが、その後は米株市場を筆頭に奇跡的な復活を遂げた。世界的なロックダウンにより経済がフリーズ化するという、かつてないピンチに陥ったが、それゆえ各国は足並みを揃え、カンフル剤を打ちまくるがごとくマネーを供給した。政府は掛け値なしの大規模な財政出動による経済対策を打ち出し、中央銀行は未曽有の量的緩和と超低金利政策に突き進んだ。まさに潮の流れが変わった瞬間である。いわゆるコロナマネーによるメガトン級の過剰流動性が株式市場を押し上げる立役者となった。

これまで売り方の仕掛けでオオカミ少年的な暴落相場の喧伝が繰り返されてきたが、もちろんそれには拠りどころがあって、実勢経済と株式市場の甚だしい遊離を根拠としていた。株式市場は先を見据えるというが、当時の企業業績の落ち込みを目の当たりにすれば、一貫した株高トレンドを肯定し続けるには無理がある、と考えるのは当然といえなくもない。しかし、それらは毎回ことごとく覆され、空売り玉はすべて踏み上げ相場の肥やしと化した。巣ごもり消費やリモートワーク特需など「ニューノーマル」というべき新しい経済構造が株高の原動力となった、というのは錯覚で、人流なくして売り上げが立たないオールド銘柄に怒涛の株価上昇が相次いだことからもそれは証明される。これは超金融緩和環境が作り出した楼閣であった。

しかし、コロナマネーを土台とした相場は明らかに終焉を迎えている。商品市況の高騰などが川下に波及しインフレ圧力が覆い隠せないものとなってきた。サプライチェーン問題による一過性のインフレという見方について表向きはそう定義できる部分もあるが、おそらくもっと根っこの構造的な部分で、行き過ぎたヘリコプターマネーの弊害が顕在化していることは間違いない。22年はその回収期に入る。再び潮の流れが変わったという認識が必要である。

今回のFOMCとパウエルFRB議長の記者会見の内容は市場の想定内であったが、マーケットはパウエル氏の言外の意思を読み取ったのではないか。眼前に横たわる2つの課題。インフレ解消と株式市場の上昇トレンド継続はトレードオフの関係にあるが、「パウエルはおそらく後者を犠牲にしてもインフレ解消に明確なアクションを示すという方針を固めた」と、市場は判断した。いや、むしろFRBはスタンスを180度転換して株を下げることを是としている。中間選挙を控え、何が何でもインフレを抑止せねばならないという思いに駆られている米大統領の思惑が、FRB議長にも伝播している可能性は高い。

今は中長期的にみてもコロナマネー相場の終着点を意識せざるを得ない下り坂に入っている。随所でリバウンド局面に必ず遭遇するが、それは波の上下動であり、マーケットに滞留する資金という観点では退潮局面に入っている。したがって、基本戦略として売られ過ぎた銘柄のリバウンド、あるいはテーマ物色の流れに即した個別銘柄の短期スタンスでの売買が主軸となる。もちろん、全体に流されない正真正銘の成長ビジネスモデルを持つ銘柄もマーケットには常に眠っているわけで、そうした銘柄を発掘できれば投資家冥利に尽きるが、それ以上に偽物を保有し続けるリスクに敏感にならなければいけない。

あすのスケジュールでは、東京eスポーツフェスタ(~30日・東京ビッグサイト)など。海外では米12月の個人所得・個人消費支出、10~12月期米雇用コスト指数などが発表される。また、国内主要企業の決算ではKDDI<9433>、オリエンタルランド<4661>、オムロン<6645>などが予定される。海外主要企業の決算ではキャタピラー<CAT>、シェブロン<CVX>などに注目度が高い。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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