それでも不安定な展開が続きそう/後場の投資戦略
日経平均 : 26720.06 (+549.76)
TOPIX : 1877.20 (+34.76)
[後場の投資戦略]
前日の大幅下落の反動、それに良好な企業決算もあり、本日の日経平均は500円を超える上昇で前場を折り返した。日本でも10-12月期の決算発表が本格化し、富士通のように部材不足や原材料高の影響を受ける企業が散見される一方、信越化や新光電、富士電のように良好な内容のものが多く見られる。直近の株価下落がきつかったためだろうが、本日のところは好決算に割と素直に反応している点も安心できる材料だろうか。もっとも、これら銘柄や日経平均は朝方伸び悩む場面もあり、戻り待ちの売りの根強さも感じられた。業種別騰落率は景気敏感セクターを中心に全般堅調だが、鉄鋼が下に振らされる格好。ここまでの東証1部売買代金は1兆7000億円あまりで、FOMC通過直後の前日並みに膨らんでいる。
新興市場ではマザーズ指数が+0.44%と反発。ただ、ここまで前日終値を挟みもみ合う展開を強いられている。前日は6%を超える下落となり、終値で2020年4月22日以来の安値を付けただけに、戻りの鈍い印象は拭えない。前日の決算発表前にストップ安水準まで売り込まれた弁護士コム<6027>は、注目される電子契約サービスの伸びがまずまず好印象だったように思う。しかし、本日は寄り付き直後を高値に失速。ジャスダックでも業績上方修正の東映アニメ<4816>が売りに押される展開となっている。ここまでの新興株安による個人投資家のダメージの大きさ、それに中小型グロース(成長)株に対する先行き警戒感の根強さが窺える。
伸び悩みが鮮明なマザーズ指数や日経ジャスダック平均はともかく、500円を超える上昇となっている日経平均もここ3日間の下落幅(1418.07円安)の半値戻し、あるいは日足チャートで26900円近辺に位置する5日移動平均線に達しておらず、自律反発の域を出ないだろう。前日の日経レバETF<1570>の押し目買いに絡み後場一段と強含む可能性はあり、26000~26500円あたりを目先の下値メドとみていた向きは意を強くしそうだが、先行きに十分警戒しつつ取り組む必要があるのには変わりない。
かくいう筆者も昨年末、1株指標の増額とPBR(株価純資産倍率)のレンジ推移を想定したうえで、2022年の日経平均の下値メドを26500円としていた。21年の日経平均のPBR推移を見ると8月に1.17~1.18倍あたりまで低下したところが底だったが、昨日再び1.2倍を割り込むところまで低下している。しかし、米国の金融引き締めにより景気減速懸念が浮上するなか、従来のバリュエーションレンジが有効かどうか改めて検討する必要はある。昨年9-11月期の決算発表を挟んだここ1カ月は1株指標がやや減額傾向にあったが、今回の10-12月期決算発表を受けて増勢に復帰できるかという点にも注目したい。
いつものとおり米市場の動向にも目を向けると、10年物国債利回りが1.80%(-0.06pt)に低下する一方、2年物については1.19%(+0.04pt)に上昇。FRBによる利上げとそれに伴う景気抑制が意識され、利回り曲線(イールドカーブ)の平たん化(フラットニング)が一段と進む格好となった。NYダウの伸び悩みやナスダック総合指数の反落を見ても、金融引き締めへの懸念の根強さがわかる。
金融政策を巡る不透明感だけでなく、「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)が30.49(-1.47)と高止まりしている点も気掛かり。月末から月初にかけて、VIX上昇に伴いリスク削減の売りが出てくることが想定される。目先は不安定な相場展開が続くとみておいた方がよいだろう。なお、本日は国内でOLC<4661>やKDDI<9433>の決算、米国で12月個人所得・個人支出(PCE)やキャタピラーなどの決算が発表される。(小林大純)
《AK》