三洋化成工業---高吸水性樹脂を用いたエクソソームの精製法を開発
三洋化成工業<4471>は1月24日、徳島大学大学院医歯薬学研究部保健学域生体機能解析学分野 冨永辰也准教授、および同大学院社会産業理工学研究部理工学域 右手浩一教授らの研究グループと、高吸水性樹脂(SAP)を用いてエクソソームを高精度・高収率に回収する精製法を開発したことを発表。同社と徳島大学の研究グループは、本技術を通して疾病予防や健康寿命の延伸に貢献することを目指している。
エクソソームは、細胞から分泌される微小粒体で、細胞間でさまざまな情報を伝達する生体物質で、疾病の診断や治療にも使えるとして近年脚光を浴びているが、その産業応用においては、回収、精製法に課題があった。
SAPは架橋構造をもつ親水性のポリマーで、自重の数百倍から千倍の水を吸収・保持して速やかに膨潤し、ゲル状になるもので、同社は、さまざまなニーズに合わせて高付加価値のSAPを開発しており、これまでにさまざまなノウハウを蓄積してきた。
今回、徳島大学の研究グループの基本構想・評価技術と同社のSAPの設計・製造に関するノウハウを組み合わせることで、エクソソームの回収・精製に適した精製法の確立に成功した。
本精製法は、従来の精製法と比べて迅速、簡便で、高純度なエクソソームを比較的短時間に多量に回収・精製することができる。このような精製法を用いることで、高純度なエクソソームを手軽に利用できるようになり、さまざまな疾患の早期診断や治療方針の決定につながるだけでなく、創薬開発などにも革新をもたらすことが期待される。
同社は、今回確立した精製法の実用化をパートナー企業との連携によって加速させ、疾病予防や健康寿命の延伸に貢献したいと考えている。
《ST》