【杉村富生の短期相場観測】 ─基本戦術は突っ込み買いの吹き値売り!

市況
2022年2月6日 9時15分

「基本戦術は突っ込み買いの吹き値売り!」

●中央銀行の金融政策、ウクライナ情勢に警戒を!

世界の株式市場は落ち着きを取り戻しつつあったが、ここにきて再び波乱の様相を強めている。イングランド銀行(イギリス)は0.25ベーシスポイントの政策金利の引き上げ(0.5%に)を決めた。政策金利の1.0%をメドに、QT(量的金融引き締め)に踏み切る方針という。

ECB(欧州中央銀行)のラガルド総裁は「船を揺らすようなことはしない」とコメントし、利上げに慎重だが、FRB(米連邦準備制度理事会)は想定通り3月利上げ、5~6月にQT開始を断行するだろう。ECBの政策はウクライナ情勢(ロシア産天然ガスのパイプラインが同国を通過)次第の面がある。

もはや、株式市場にフレンドリーだった中央銀行は次々に消えている。厳しい冬の時代の到来だ。もちろん、1月下旬のような局面では突っ込み買いは有効だろう。それと、逆境に強いハイクオリティ銘柄にマトを絞っての短期勝負(吹き値売り)に徹する投資戦術が求められる。

なお、直近安値~直近高値(ともにザラバベース)の戻り率を見ると、NYダウが7.6%、ナスダック指数が10.8%、日経平均株価が5.8%、マザーズ指数が12.4%となっている。やはり、日経平均株価の戻りが鈍い。これは半導体、自動車セクターなどの株価不振が響いていると思う。

一方でIT業界は業績的には好調だ。アメリカ市場のアップル<AAPL>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、マイクロソフト<MSFT>、アルファベット<GOOGL>などがそうだ。アルファベットは7月末に1対20の株式分割を行う。ダウ採用が取り沙汰されている(除外はインテル<INTC>?)。その布石ではないか。

●好業績・好需給銘柄を個別に攻める!

半面、メタ・プラットフォームズ<FB>は不振だった。コロナ禍での勝ち組といわれていたが、この急落が3日のナスダック指数を押し下げた面がある。日本市場では愛三工業 <7283>、日本精工 <6471> 、豊田合成 <7282> 、大豊工業 <6470> などが業績の下方修正を行っている。自動車減産のダメージが顕在化している。

海運業界は絶好調だ。商船三井 <9104> の2022年3月期の1株利益は5247.3円(前期は753円)となる。配当は1050円(同150円)とする。同様に、日本郵船 <9101> の1株利益は5505.5円(同824.5円)、配当は1200円(同200円)とする。NSユナイテッド海運 <9110> 、川崎汽船 <9107> も好業績である。

株価は高値保ち合いだが、時価のPERは商船三井が1.7倍、日本郵船が1.8倍にすぎない。配当利回りは商船三井が11.72%、日本郵船が12.24%だ。大手証券では最終利回り24.3%の国際金融公社発行のトルコリラ債買いを推奨しているが、実際の年利はトルコリラが急落し、1~2%にすぎない。海運株投資の方が有利だろう。

もちろん、急騰中のコンテナ船運賃市況は中国の春節(1月31日~2月6日)前後にピークアウトし、2~4月は安くなる、との経験則(過去10年間のデータ)には注意を要する。とはいえ、この好業績、配当利回りは魅力である。3月の配当落ちまでは楽しめる。ディーリング的には不向きだろうが……。

個別銘柄では2022年3月期業績予想が18.5%増収、58.4%最終増益、1株利益139.3円(前期は88円)となる新日本科学 <2395> に注目できる。配当は20円増の40円とする。日鉄物産 <9810> の2022年3月期の1株利益は992.1円(前期は495.8円)を見込み、配当は320円(同160円)と倍増させる。

このほか、業績面に加え、商い(売買代金)を考慮すると、日本ケミコン <6997> 、日本冶金工業 <5480> 、テクノプロ・ホールディングス <6028> 、SECカーボン <5304> [東証2]、FRONTEO <2158> [東証M]、アミタホールディングス <2195> [JQG]などに妙味があろう。

2022年2月4日 記

株探ニュース

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