富田隆弥の【CHART CLUB】 「日本株の戻りを占うNYダウ」
◆オミクロン株の感染拡大の勢いが、「もうはまだなり」と言わんばかりに止まらない。「2月上旬のピークアウト」が一部で予測されていたが、政府は東京都など13都県で、13日に期限を迎える「まん延防止等重点措置」の延長を視野に入れる。欧州では行動制限を解除する動きが目立つが、アジア圏はまだその時期でなく、サプライチェーン(供給網)に支障を来す可能性も指摘されている。とはいえ、「まだはもうなり」と言える日は遠からずやって来る。もう少しの辛抱である。
◆さて、日経平均株価は1月27日の安値2万6044円から戻り歩調にある。2月9日時点で2万7579円と、25日移動平均線(2万7691円)や1月5日高値からの下落の半値戻し(2万7716円)、急落前の三角保ち合いのレンジ下限である2万8000円台に近づき、ここから正念場を迎える。
◆カギを握るのは米国市場だが、ナスダック(8日時点1万4194ポイント)は52週移動平均線(1万4500ポイント)や200日移動平均線(1万4735ポイント)のまだ下にあり、日経平均株価と同様にこれからが正念場だ。
◆ただ、NYダウ(同3万5462ドル)が、200日移動平均線(3万5020ドル)を上抜いて75日移動平均線(3万5627ドル)に迫ってきた。NYダウがこの75日移動平均線を突破するのならば、重苦しい雰囲気も一変し、ナスダックや日本株にフォローの風をもたらして「もうはまだなり」と戻り足に再び勢いをつけることも想定される。
◆米国ではインフレ懸念が強まっており、人件費が高騰し、原油(WTI)が92ドル台と7年半ぶりの高値を更新、そして長期金利(10年債利回り)が1.97%と2年2カ月ぶりの水準に上昇している。10日発表の消費者物価も注目されるが、こうした状況を織り込みながら、それでもなおNYダウが戻り歩調を鮮明にするのか、これがポイントの一つになりそうだ。
(2月9日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース