来週の相場で注目すべき3つのポイント:ウクライナ情勢、米FOMC議事録、米1月PPIなど

市況
2022年2月12日 19時01分

■株式相場見通し

予想レンジ:上限27500-下限26250円

来週の日経平均は波乱含みの展開か。今週は中盤まで米長期金利が高止まりするなかでも、ハイテク・グロース(成長)株を中心に非常に強い動きがみられた。

しかし、日本の3連休の間、10-11日の米国市場は再び波乱の展開。米1月消費者物価指数(CPI)が予想を上振れたほか、セントルイス連銀のブラード総裁が7月1日までに合計1%の利上げを支持すると言及。米10年物国債利回りが一時2019年以来の2%超えとなるなか、ハイテク・グロース株を中心に下落した。さらに、米政府が数日内にロシアがウクライナ侵攻に踏み切る可能性を警告したことで地政学リスクが急速に高まった。この間、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の日経225先物は27000円割れとなる場面もあり、週明けの日経平均は下落スタートを強いられるだろう。

一方、フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場は6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)までの合計1%の利上げをほぼ織り込み、3月FOMCでの0.5%引き上げを予想する確率も5割超にまで上昇した。また、ブラード総裁のタカ派発言後、数人の米連邦準備理事会(FRB)高官が大幅な利上げを支持しない考えを示した。金融引き締めに対する織り込みは着々と進んでいる。地政学リスクについても、ロシアはウクライナ侵攻の計画を繰り返し否定している。両問題について、この先、一段と事態を深刻化させるような報道が伝わらない限りは、株価の大幅下落は週前半で一巡すると予想される。

ただ、サマーズ元米財務長官は、FRBは臨時会合を即時開催し、インフレ抑制への決意を強調するべきだと主張。実際にこのような展開は想定されにくいが、有識者からこうしたタカ派的な発言が今後も相次ぐと、相場は神経質に反応しそうなため注意したい。

16日にはFOMC議事録(1月開催分)が公表予定。量的引き締め(QT)については依然として開始時期やペースが不透明だ。1月FOMC後のパウエルFRB議長の会見では具体的な発言が避けられ、市場のあく抜け期待を裏切る形で相場の深押しにつながった。金融引き締めペースを巡るヒントを得ようと、市場の注目度は高いとみられる。外部環境が不透明ななか、内容を確認した後も神経質な地合いは続き、上値の重い展開が想定される。

個別では、米金融引き締めや地政学リスクなど懸念材料が多いなか、食料品や医薬品、通信といったディフェンシブセクターの物色が想定される。食料品では、コスト増への対応力の有無で銘柄選別すべきで、日清食品ホールディングス<2897>や味の素<2802>など、値上げ進展が確認されている銘柄やブランド力の強い銘柄が好まれやすいだろう。そのほか、16日には米国でエヌビディアやアプライド・マテリアルズといった半導体企業の決算が発表予定。足元の地合いはハイテクに厳しいが、内容と株価反応に注目したい。

■為替市場見通し

来週のドル・円は伸び悩みか。米国金利の先高観は後退していないものの、ロシアによるウクライナ侵攻の可能性は残されており、リスク選好的なドル買い・円売りがただちに拡大する可能性は低いとみられる。米国政府はロシアが冬季五輪開催中にウクライナ侵攻に踏み切る可能性を警告しており、2月11日の米国株式は大幅安となり、米長期金利は反落した。このため、主要通貨に対するリスク回避的な円買いが縮小するとの見方は少ないようだ。

ただ、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)への加盟を巡ってロシアと西側諸国が対話を継続する方針を維持すれば、リスク回避的な取引が縮小する可能性は残されている。また、16日に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨(1月25-26日開催分)には、政策金利引き上げやバランスシート縮小についての記述が含まれているとみられ、インフレ抑制や金融引き締めを明確に支持する内容だった場合、ドル買い材料になり得る。日本銀行は、長期金利の上昇を抑制するために0.25%で10年国債の買い入れを無制限に行うと発表したことは円売り材料となる。

■来週の注目スケジュール

2月14日(月):日・決算発表→リクルトH、クボタ、SMC、欧・ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が欧州議会に出席など

2月15日(火):日・GDP速報値(10-12月)、日・鉱工業生産(12月)、日・決算発表→ブリヂストン、アサヒGH、米・生産者物価コア指数(1月)、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(2月)など

2月16日(水):中・消費者物価指数(1月)、米・小売売上高(1月)、米・鉱工業生産指数(1月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月25-26日会合分)、米・決算発表→エヌビディア、アプライドなど

2月17日(木):日・貿易収支(1月)、エッジテクノロジーが東証マザーズに新規上場、トルコ・中央銀行が政策金利発表、米・住宅着工件数(1月)、米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(2月)、米・セントルイス連銀総裁が講演、米・決算発表→ウォルマートなど

2月18日(金):日・消費者物価コア指数(1月)、欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(2月)、米・中古住宅販売件数(1月)、米・シカゴ連銀総裁やウォラーFRB理事がUSマネタリー・ポリシー・フォーラムに参加など

《YN》

提供:フィスコ

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