来週の相場で注目すべき3つのポイント:ウクライナ情勢、マザーズIPO3社、米1月PCEコアデフレーターなど
■株式相場見通し
予想レンジ:上限27500-下限26500円
来週の日経平均は神経質な展開か。企業の決算発表が一巡し、経済指標の発表も少ないため、引き続きウクライナ情勢を巡る地政学リスクなど外部環境に翻弄される展開となりそうだ。なお、東京市場は週半ばの23日が、米国市場は週初21日がそれぞれ祝日で休場となる。
ウクライナ情勢は混沌としている。米ロの外相会談が行われるとの報道で警戒感は一時後退したが、バイデン米大統領は18日、ロシアが既にウクライナ侵攻を決定し、近日中に攻撃する計画であることを確信していると述べたという。また、ロシアと欧米諸国との主張には依然大きな隔たりがあり、外相会談が物別れに終わる可能性もある。ウクライナ情勢を巡っては不確実性が非常に高い。残念ながら、この先もヘッドラインに一喜一憂する展開が続くだろう。
一方で、地政学リスクの陰に隠れつつあるが、今年最大の相場テーマは金融政策の動向だ。米1月消費者物価指数(CPI)は予想を上振れ、40年ぶり最大の伸びを記録した。12月に続き2カ月連続で鈍化が期待されていた米1月生産者物価指数(PPI)も前月比+1.0%と、予想の+0.5%を大幅に上回った。こうした事態を受け、セントルイス連銀のブラード総裁は「6月末までの間に合計1%の利上げを実施すべき」や、「インフレ抑制のためには政策金利が中立金利を超える水準にまで上昇させる必要があるかもしれない」などと、タカ派的な発言を相次いで出している。
16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の公表以降、金融引き締め懸念は一時後退し、地政学リスクの陰に隠れる形となっているが、仮にウクライナ情勢が外交的に穏当に解決されれば、再び金融引き締め懸念が強まってくるだろう。
既に市場は利上げについては先行して年5~7回分を織り込んできているとはいえ、量的引き締め(QT)についてはどのくらいペースで、どのような方法で行われるかといった点で依然不透明感が強い。利上げとは異なり、QTについては過去に1度しか経験がない。また、その際にはデフレを警戒してかなり漸進的なペースで実施されたが、現在は労働市場が逼迫し、物価は強いインフレ傾向にあるため、少なくとも前回よりはかなり速いペースで行われることがほぼ確実。市場への影響を予測することは難しく、安易に織り込み済みと捉えてのあく抜けに期待するのは危険だろう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は下げ渋りか。ロシアによるウクライナ侵攻に関しては、状況を見極める展開が続く。そうしたなか、米国と欧州連合(EU)によるロシアとの協議が注目され、泥沼化の回避が期待されている。ウクライナ情勢の不透明感は払しょくされていないものの、平和解決への期待感が高まればリスク回避的なドル売り・円買いは後退しそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)による金融正常化の加速や日米金利差拡大の思惑もあることから、リスク回避的なドル売り・円買いがただちに拡大する可能性は低いとみられる。
一方、2月16日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(1月25-26日開催分)は、金融引き締めに積極的な内容ではなかったと受け止められた。ただ、足元で発表された米消費者物価指数(CPI)は約40年ぶりの高水準と、インフレ高進はより鮮明になった。金融当局者も引き締め加速の必要性に言及しており、金利高・ドル高の基調が失われる可能性は低いとみられる。
■来週の注目スケジュール
2月21日(月):日・欧・英・製造業PMI/サービス業PMI(2月)、日・工作機械受注(1月)、中・新築住宅価格(1月)、欧・欧州連合(欧)外相理事会、米・株式市場は祝日のため休場(プレジデンツデー)など
2月22日(火):日・CaSyが東証マザーズに新規上場、米・S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数(12月)、米・製造業PMI/サービス業PMI(2月)、米・消費者信頼感指数(2月)、米・アトランタ連銀総裁がオンライン討論会に参加など
2月23日(水):株式市場は祝日のため休場(天皇誕生日)、英・ベイリーイングランド銀行(英中央銀行)総裁が議会委証言など
2月24日(木):日・全国百貨店売上高(1月)、BeeXが東証マザーズに新規上場、米・GDP改定値(10-12月)、米・新築住宅販売件数(1月)、米・クリーブランド連銀総裁が講演など
2月25日(金):日・景気動向指数(12月)、マーキュリーリアルテックイノベーターが東証マザーズに新規上場、欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(2月)、米・個人支出/個人所得(1月)、米・個人消費支出(PCE)価格コア指数(1月)、米・耐久財受注(1月)など
《YN》