ロシアがウクライナ侵攻開始、戦後世界秩序の転換点にも

市況
2022年2月24日 19時03分

―世界同時株安の様相強める、日経平均株価は昨年来安値を更新―

ロシアは24日、ついにウクライナに対する軍事侵攻を開始した。ロシアのプーチン大統領はウクライナでの特別軍事作戦を行うことを決めた、と発表。日本時間の正午過ぎにはロシア軍によるウクライナに対する侵攻が始まった。このロシアによるウクライナ侵攻を受け、日経平均株価は一時、600円を超す下落となり2万6000円割れへと急落。結局、前日比478円安の2万5970円で取引を終え、昨年来安値を更新した。

相場はリスクオフ色を強め、半導体関連など主力ハイテク株が売られた。その一方で、原油や金価格は上昇した。また、安全通貨と呼ばれる円は買われ、円高が進行した。この日のNYダウ先物は急落し、中国や香港などアジア市場に加え欧州株式市場も大幅安に売られるなど“世界同時株安”の様相を呈している。第一生命経済研究所の首席エコノミスト、嶌峰義清氏に今後の相場の見通しとロシアのウクライナ侵攻が持つ意味を聞いた。同氏は、今回のロシアの軍事侵攻は、戦後の国際秩序を塗り替えかねないと指摘している。

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

嶌峰義清氏

「歴史的な意味はとてつもなく大きい、当面は軍事侵攻の行方が焦点」

市場では、ロシアがウクライナに対して軍事介入することは、想定内となっていたと思う。親ロシア派勢力が占領する東部の一部地域に介入するとみていただろう。しかし、ロシアがここまで大規模で全面的な軍事介入に踏み切ることは、想定していなかったと思う。

ロシアがこれだけの規模の軍事介入に踏み切ったことで、米国のほか、日本を含めた西側諸国は足並みを揃えて最大限の経済制裁に踏み切ることが予想される。ここまでは、大枠としては想定内の動きともいえる。

問題はロシアによる軍事展開の動向だ。その行方によって、相場にとってプラスにも、逆にマイナスにも働くと思う。全面的な軍事介入により短期でウクライナが白旗を揚げた場合、ロシアは親ロシア政権を樹立させるだろうが、軍事衝突は終わることになる。これは相場にとっては悪い話ではない。 

逆に、ウクライナ軍が踏ん張り、米国に加え例えばNATOも戦車や航空機の提供などで協力するといった形で展開していくのなら、状況は泥沼化して戦局がどこまで拡大するか分からなくなる。当面の相場には、この泥沼化シナリオの方がネガティブに働くことが予想される。

前者の場合、日経平均株価は底を探る形で回復し反発を試すことも予想される。後者の展開となった場合は、2万5000円割れから一段の下値を探ることもあり得るだろう。

相場の動きを探るなら、このような見方になる。ただし、今回のロシアのウクライナ侵攻が持つ歴史的な意味はとてつもなく大きいと思う。過去に起こった米国による湾岸戦争やイラク戦争とは全く異なる。核保有国がその兵器をちらつかせながら軍事侵攻し、それを止められなかったとなると、戦後の国際秩序を塗り替えかねない事件となる。ロシアの動きに米国など西側諸国がどう動くかを中国は注視していると思う。今回のロシアのウクライナ侵攻は、中国による台湾問題へと波及していくことも予想される。このロシアの軍事侵攻に対して西側諸国は毅然とした態度を示すことが必要だと思う。

出所:MINKABU PRESS

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.