来週の株式相場に向けて=ウクライナ混迷で内需系好業績株に退避も
日経平均株価はこの日一時、昨年来安値を割り込んだが、今後の相場動向をどうみれば良いのか。市場関係者からは、今回のウクライナ危機の読みにくさにとまどう声が上がっている。まず、ロシア軍の侵攻があっても東部の親ロシア派の占領地域にとどまる、とみていたが、ウクライナ全土への全面侵攻に踏み切った。また、侵攻は短期で決着がつくとみていたが、徐々に泥沼化の様相を呈している。もし、ロシアがキエフを占領したとして「親ロ派政権をどう打ち立てるのか。ロシアの戦費は持つのか」(市場関係者)という点を疑問視する見方は多い。
そして極めつけが、今日のロシア軍によるウクライナ原発に対する攻撃だ。結局、原発施設で発生した火災は鎮火したと伝わったが、「プーチンがやっていることはテロリストと同じ。次に何が起こるかが全く分からない」(同)とリスクオフ姿勢を強めさせた。
原発への攻撃はロシアへの経済制裁強化につながる、との見方がある。国内大手証券では、ロシアへの経済制裁が欧州のインフレ・利上げとなり、それが世界市場を混乱させることへの懸念を指摘。1987年に発生し世界の株価が急落した「ブラックマンデー再来の可能性」にまで言及している。3月後半に入れば、凍土が溶けてロシアの戦車は走りにくくなる、ともいわれるが、15~16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)も控え、当面はなお上値の重い展開が予想される。
そんななか、石油・非鉄など資源関連株を除けば、堅調さが目立つのが日本電信電話<9432>やKDDI<9433>、ソフトバンク<9434>といった通信株だ。ウクライナ危機の影響が少ない好業績の内需株で高利回りとあって、消去法的な観点からの配当権利取りの動きが強まっている様子だ。
来週は、ウクライナ情勢以外では、10日の米2月消費者物価指数(CPI)が注目される。また、同日にはECB(欧州中央銀行)理事会も開催される。国内では、9日に10~12月期国内総生産(GDP)改定値が発表される。10日に積水ハウス<1928>の決算が予定されている。11日には東証2部にセレコーポレーション<5078>が新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは2万5700~2万6500円。(岡里英幸)