【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 個別に材料・テーマ性ある銘柄に資金は向かう!

市況
2022年3月12日 8時00分

「個別に材料・テーマ性ある銘柄に資金は向かう!」

●ウクライナ情勢に翻弄される株式市場

今週の日経平均株価は引き続きウクライナ情勢に翻弄される動きとなった。3月9日に2万4681円まで売られると、2万5000円割れをターゲットとしていたポジション調整の動きに加え、原油先物相場にピーク感が出たことも相まってリバランスと見られる買いが強まり、10日は上げ幅が一時1000円を超す急反発を演じた。ただし、週末11日は先物オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)自体は無難に通過したものの、改めてショート寄りのトレードが強まって反落し、前日の上げ幅を半分消す形で取引を終えた。

来週も引き続き、ウクライナ情勢の動向に市場は神経質になりそうだ。プーチン大統領がロシアから撤退する外国企業の資産を国有化するとの政府方針を了承するなど、制裁への報復と見られる動きが複数報じられており、西側主要国との制裁の応酬が懸念される。仮にウクライナとの停戦に向けた動きに進展が見られたとしても、金融市場の正常化には不透明感がくすぶる。

また、来週15-16日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。0.25%利上げ予想のコンセンサスに変化はないものの、通過後の市場反応を見極めたいとする手控えムードは高まりやすい。加えて、18日は米国市場がSQを迎える。主要な株価指数は年明け以降、弱いトレンドを継続しているため、SQでの波乱を警戒する動きも強まりやすいだろう。

これらを踏まえると、週を通じて様子見姿勢は強く、薄商いのなかで先物主導のインデックス売買に振られやすい需給状況となりそうだ。そのため、インデックス売買の影響を受けづらく、個別に材料のある銘柄やテーマ性のある銘柄などに資金が向かいやすいだろう。3月期末を意識した配当志向の物色も意識されそうである。今回は 再生可能エネルギー アフターコロナ、社会インフラのほか、半導体企業の設備増強が追い風となりそうな銘柄に注目した。

●来週の活躍期待「注目5銘柄」

◆ウエストホールディングス <1407> [JQ]

メガソーラー開発、産業用太陽光発電 の施工、高圧太陽光発電所の売買仲介・買い取りなど再生可能エネルギーソリューションを手掛ける。ウクライナ情勢の緊迫化による資源価格の高騰を背景に、今後、 脱炭素に向けた取り組みは一段と加速しよう。また、政府は3月1日に、空港の脱炭素化を促すため、太陽光発電など再生可能エネルギー発電の拠点として空港周辺の土地を利用できるよう、航空法や空港法などの改正案を閣議決定した。約1万5000ヘクタールとされる空港施設での太陽光パネル設置余地を活用することで、エネルギー源としての太陽光など再生可能エネルギーの位置づけはより強固なものとなろう。株価は3100円水準での底固めを経て、25日移動平均線を支持線としたリバウンドを形成。75日線突破からの一段高に期待したい。

◆ワークマン <7564> [JQ]

作業服・作業関連用品の大型専門店チェーンを主力に、新業態店舗「ワークマンプラス」や「#ワークマン女子」を展開。「高機能×低価格」を特徴とする製品がアウトドアやスポーツの領域でも人気となるなか、キャンプ市場に本格参入する。アフターコロナ時代においてもキャンプ人気は続くと予想され、低価格を強みに同社の製品は今後も初心者の需要を取り込んでいくことが期待される。足元のリバウンドは75日移動平均線に上値を抑えられたものの、25日線水準での攻防から押し目狙いのタイミングを測るスタンスか。

◆フルヤ金属 <7826> [JQ]

鉱山で産出されたイリジウムパウダーを溶解・加工し製品化する技術と、リサイクルを中心とした高純度化技術を有する。情報通信・ 半導体を中心とするエレクトロニクス市場の好調を背景に、基板の製造工程で使用されるイリジウムルツボなどは堅調な推移が見込まれる。また、高純度精製の強みを活かした次世代半導体向け製品の成長にも期待したい。株価は1月5日につけた1万3480円を高値に調整が続くものの、8000円水準での底固めからリバウンドを見せてきている。

◆エスイー <3423> [JQ]

プレストレストコンクリート(PC)の定着工法であるSEEE工法を中核とする建設用資機材の製造・販売を行う。足元では建設用資機材の落橋防止装置など橋梁耐震補強製品の販売が好調であり、社会インフラ関連として注目される。株価は350円を挟んだ保ち合いを上放れ、3月7日には439円まで上昇して昨年来高値を更新しており、一段のリバウンド加速を想定。

◆ニコン <7731>

半導体露光装置は新品装置の販売台数が減少したものの、中古装置の販売台数の増加に加えて、サービスビジネスの好調により、2022年3月期の連結最終損益は390億円の黒字(前期は344億円の赤字)に浮上する見通し。また、半導体不足に対応して、半導体業界では新工場建設も活発化しており、半導体露光装置販売への追い風になりそうだ。株価は2月17日に1387円まで上昇し、昨年来高値を更新。ただし、その後は調整を強めており、直近では1050円水準まで下落する場面が見られた。ボリンジャーバンドで-3σに接近する水準まで下げたことで、調整一巡によるリバウンドを想定。

2022年3月11日 記

株探ニュース

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