明日の株式相場に向けて=メタバース潮流と核融合に思惑

市況
2022年4月4日 17時00分

週明け4日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比70円高の2万7736円と切り返しに転じた。新年度入りで機関投資家のリバランスの買いが入ったといえば聞こえはいいが、主力株については売りも買いも腰の引けた状態。全体低調商いのなか取引最終盤に入った打診買いが奏功し4日ぶりの反発となった。この日はアクセルを吹かすことなく、終日にわたって“試運転”のような相場つきだった。

きょうから東京市場は「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編された。最上位市場の「プライム」には1839社が上場することになり、東証1部と比べ上場企業数が減少したものの、時価総額ベースでは700兆円台に乗せ東証1部を上回る。しかし、60年ぶりの市場再編というフレーズの割には、あまり代わり映えがしないというのが市場関係者の共通する意見で、むしろ相場の実態を見えにくくしているという声もあった。特にプライム市場の加重平均株価がリアルタイムに更新されないことにいら立ちを覚えた向きもいたようで、「指数としての役割を果たしておらず、全体像も見えにくい」(国内証券マーケットアナリスト)という指摘があった。今回の市場再編は、飛行機で言えば離陸するまでの滑走路が短くテイクオフに際しても不安定感が拭えず、市場関係者の多くからも戸惑いの声が聞かれた。「突貫工事で間に合わせた感じは否めない。指数のリアルタイム更新ができていない時点で、海外投資家の目にはどう映るのか。手計算の場立ちの時代にタイムスリップしたような印象がある」(前出のマーケットアナリスト)と手厳しい。

事実きょうは「短期スタンスの売買を行うファンドを中心に法人系資金が、システム障害を恐れて売り買いのボリュームを引き下げている」(準大手証券ストラテジスト)という情報も巡っていた。日経平均株価の方はこれまでとは少し様子の違う値運びで、2万7000円台後半をぬるぬるとウナギが進むようなイメージ。気迷い相場とも違う、どちらに向かっていいのか分からないような動きに終始した。ただ、引け際にインデックス買いが入り、結局70円高と大幅高ではないが小反発ともいいにくい、それなりの値幅を確保して帳尻を合わせた格好だ。

もっとも個別株ベースでは、主力株への買いが手控えられるのを横目に中小型株への物色意欲が旺盛だった。時価総額5400億円前後と大型で、以前はマザーズ市場で断トツの主力銘柄だったメルカリ<4385>は、現在はグロース市場に上場しているものの、プライム市場への上場の意向をみせていることで今後も思惑先行で買いを集める可能性がある。また、同じくグロース市場からプライムへの鞍替えを希望するメドレー<4480>もここ連日で上値を追い、きょうは8%強の上昇をみせた。

投資テーマではブロックチェーン メタバース関連など、Web3関連株に投資資金が勢いよく流入している。ゲーム関連株が強い動きでドリコム<3793>が年初来高値更新。中低位ではアエリア<3758>あたりにも光が当たる可能性がある。

また、ブロックチェーン技術で先行し展開力を増すサイバーリンクス<3683>。目先急動意したものの、2020年12月に4000円近くまで買われた経緯があり、チャート的にはまだ山麓に位置している。ブイキューブ<3681>も同じような波動だ。キャラクター関連もメタバースとの融合で企業価値が高まる可能性がある。その代表格としてはサンリオ<8136>が有力候補となるだろう。このほか足の速い小型株では「すみっコぐらし」のメタバース化でイマジニア<4644>が面白い存在となる。

メタバース以外のテーマでは、きょうのINPEX<1605>の核融合発電への参入報道を受けた株価上昇よりも、高いパフォーマンスを上げたのがストップ高人気となった助川電気工業<7711>だ。同関連では神島化学工業<4026>のほか、レーザー核融合のシグマ光機<7713>、浜松ホトニクス<6965>などもマークしておきたい。

あすのスケジュールでは、2月の家計調査、2月の毎月勤労統計、4月の日銀当座預金増減要因(見込み)が開示されるほか、10年物国債の入札も予定されている。海外では豪中銀が政策金利を発表するほか、2月の米貿易収支、3月の米ISM非製造業景況感指数などにマーケットの関心が高い。なお、中国上海・深セン市場と香港、台湾市場が休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2022年04月04日 19時01分

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