為替週間見通し:ドル上昇は一服か、125円台で高値警戒のドル売りも

通貨
2022年4月9日 14時25分

■米長期金利上昇でドル買い強まる

今週のドル・円は上昇。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ対応に積極的に動くとの観測が強まり、米長期金利は一段と上昇したことから、日米金利差の拡大を見込んだドル買い・円売りが再び優勢となった。欧州連合(EU)は4月8日、石炭、木材、化学品などの輸入禁止を盛り込んだロシアに対する第5次制裁を正式に採択したが、欧州諸国の経済活動にも影響を与えること、ロシアとウクライナの和平実現への期待は大幅に後退したことを受けてユーロ、日本円などの主要通貨に対する安全逃避的なドル買いも観測された。

8日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時124円68銭まで上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)による急速な金融引き締めを想定して長期金利は一段と上昇し、ドル買いが加速した。ドル・円は124円28銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:122円27銭-124円68銭。

【来週の見通し】

■ドル上昇は一服か、125円台で高値警戒のドル売りも

来週のドル・円は上昇一服か。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め加速への思惑から、長期金利高を手がかりにドル買いは継続するとの見方が多い。ただし、直近高値の125円台が意識され、利益確定を狙った短期筋などのドル売りが増える可能性もあり、一段のドル上昇を抑制しよう。複数のFRB当局者が金融引き締めに前向きな見解を示し、米金利高・ドル高の基調が鮮明だ。特に、バイデン政権に近いとされるブレイナードFRB理事は先日行われた討論会で追加利上げに意欲を示した。加えて、バランスシート縮小の開始に踏み込み、インフレ対応を強力に後押しする方針を示した。次回5月3-4日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では、0.5ポイントの利上げや保有資産の縮小開始が予想される。12日発表の消費者物価指数が市場予想と一致、または上回った場合、為替市場はそれを織り込む展開となろう。

一方、円安容認の黒田日銀に対し、政府サイドから「悪い円安」をけん制する発言が相次ぐ。黒田日銀総裁は4月5日の国会答弁で、最近の為替の変動について「やや急ではないか」と述べているものの、日銀は長期金利の上昇を抑制する方針を堅持しており、市場参加者の間からは「ドル買い・円売りがただちに縮小する可能性は低い」との声が聞かれている。ただし、3月28日の高値125円09銭とその延長線上にある2015年6月につけた125円86銭は節目の水準として意識されやすい。124円台では高値警戒感や過熱感が強まるため、利益確定狙いのドル売りが増えることによってドルに下押し圧力が加わることには警戒したい。

【米・3月消費者物価指数(CPI)】(12日発表予定)

12日発表の米3月消費者物価コア指数(CPI)は前年比+6.6%と、高水準が続くとみられる。ただ、事前予想と一致した場合、市場の反応は限定的となりそうだ。

【米・3月小売売上高】(14日発表予定)

14日発表の3月小売売上高は前月比+0.5%と、2月の+0.3%から小幅に上昇しそうだ。個人消費が好調を持続できれば、株高・円安要因となろう。

予想レンジ:123円00銭-125円80銭

《FA》

提供:フィスコ

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