明日の株式相場に向けて=三空の窓埋めはあるか

市況
2022年4月12日 17時01分

きょう(12日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比486円安の2万6334円と大幅続落。一時は500円を超える急落で2万6304円まで突っ込む場面もあった。取引終盤は若干下げ渋ったものの、400円を超える下げは前週から数えて3度目で下げ幅も次第に大きくなっている。先物主導のボラタイルな地合いが続いているが、行ったり来たりではなく上下どちらかに偏る傾向があり、4月相場に入ってからは下である。

きょうは、日本時間今晩に発表される3月の米消費者物価指数(CPI)を前に、投資家の不安心理を衝くような売りで下値模索を余儀なくされた。今週のFRB高官の「タカ派発言ラッシュ」を嫌気するまでもなく、このCPIの数値が何にも増して無言の圧力となる。米CPIは前年同月比8.4%増が事前予想ラインで、この水準自体かなりのインパクトがあるが、仮に9%前後まで跳ね上がった場合は米国発の波乱相場が再び幕を上げる可能性がある。きょうの日経平均の下げについて、市場では「先物を絡めた売り仕掛けが入ったようだ。(日経平均は)前場中盤から後場中盤まで一貫して下値を小刻みに切り下げる動きを示しており、細かく機械的に売り続けるアルゴリズムの特有の手口が色濃く反映された波動」(中堅証券ストラテジスト)という指摘があった。

日経平均は3月中旬から下旬にかけて、強気筋ですら首をかしげるほどの急反騰をみせ、3月25日には2万8300円台まで問答無用の大出直り相場を演じた。この時は9連騰を交え、日経平均は底値から3600円あまりも水準を切り上げたが、その原動力は溜まりに溜まっていたショートポジション(空売り)の解消、いわゆる踏み上げ相場の典型であった。「需給はすべての材料に優先する」という相場の黄金格言を地で行く展開となったわけだが、それは当時の外部環境が見渡す限り悪材料だったからともいえる。

3月後半のリバウンドで株価にプラスに作用する材料をあえて探すとすれば、自動車やハイテク企業の輸出採算を向上させる急速な円安進行だが、これは商品市況高が続くなかで、企業のコスト上昇を増幅させるネガティブ要素の方が大きいという見方がもっぱらだった。また仮に円安が株高の足掛かりだったとすれば、現在の状況と矛盾する。今は3月中下旬と比較しても一段と円安が加速している状況にあるが、自動車株を筆頭とする輸出セクターの反応はサッパリである。収益に対する為替感応度で群を抜くトヨタ自動車<7203>の株価をみれば瞭然だ。為替動向に関係なく、日経平均は4月新年度相場入りから踵(きびす)を返し、今来た道を引き返すように下値を探る動きに変わっている。これは言うまでもなく、為替市場での円安進行よりも、その原因となっている米長期金利の急上昇の方に目を奪われているからに他ならない。

3月の目の覚めるような戻り相場では、需給がすべてに優先したのは事実だが、その後は買い戻しが終わり“現実売り”の状況に陥っていると考えられる。現状はまだ、3月上旬のような陰の極に陥っているような雰囲気はない。実際、投資家の体感温度を表す騰落レシオ(25日移動平均)は日経平均ベースで107%(前日時点)と過熱感もなければ悲観ムードにも囚(とら)われていない状況を示唆している。

しかしそうしたなかで、既に3月中旬から下旬にかけて形成した“三空”のうちの2つを埋め、25日移動平均線も下抜けて3つ目のマド埋めに迫っている。この3つ目のマドというのは、上昇局面で3月17日に開けた最初のマドに当たるが、ざっくり2万5800~2万6200円のゾーンとなる。マドの下限まではまだ余裕があるが、逆張りを考えるならば、その3つ目のマド埋めが起こり得るという意識のもとで、資金を分散して買い下がるという手段をとるべきである。

「暴落相場の赤札銘柄につけ」という有名な相場格言があるが、今の相場は“強い株を順番に狩っていく”ような地合いで、油断はならない。リバウンド期待の逆張りとなると、そのタイミングが難しいが、3月9日につけた日経平均の安値2万4717円を意識しながら少しずつ買い下がっていくくらい腰が引けた投資で十分な局面と思われる。

あすのスケジュールでは、2月の機械受注、3月のマネーストックなど。海外では3月の中国貿易統計、ニュージーランド中銀の政策金利発表、3月の英消費者物価指数(CPI)、3月の米卸売物価指数(PPI)などが発表される。なお、タイ市場は休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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