話題株ピックアップ【夕刊】(3):トヨタ、日電産、セルシード
■トヨタ自動車 <7203> 2,210円 -40 円 (-1.8%) 本日終値
トヨタ自動車<7203>が続落。ここ最近は急速な円安を背景に輸出採算向上期待が株価を押し上げる形となっていた。同社の22年3月期の通期想定為替レートは1ドル=111円と実勢とは大きなカイ離が生じていることで、23年3月期については為替メリットが大きく発現する可能性が高いとみられている。しかし、きょうは外国為替市場で足もと1ドル=128円台半ばまで円安が進んでいるにもかかわらず、売りに押される状況を余儀なくされている。半導体不足などサプライチェーン問題に伴う生産台数の減少とウクライナ問題など地政学リスクによってもたらされる原料高の影響をマーケットは警戒している。また、世界的なインフレ高進のなか、金融引き締め政策を背景とした先行き消費意欲の減退が、自動車販売に影響を及ぼす可能性も懸念されているもようだ。
■日本電産 <6594> 8,960円 -10 円 (-0.1%) 本日終値
日本電産<6594>が反落。21日の取引終了後に発表した23年3月期の連結業績予想は、売上高2兆1000億円(前期比9.5%増)、営業利益2100億円(同22.5%増)、純利益1650億円(同20.6%増)を見込み、年間配当予想は前期比5円増の70円とする予定としたが、営業利益で2200億円強を見込む市場予想を下回るとの見通しであることが嫌気された。受注が急拡大しているトラクションモーターシステムE-Axleは、今期後半からステランティスとの合弁会社による量産開始も寄与し順調に成長する見通し。原材料価格の高騰やサプライチェーンの混乱など不透明要因は多いものの、収益構造の改善なども貢献し営業利益は過去最高益の更新を見込む。想定為替レートは1ドル=110円、1ユーロ=125円としている。なお、22年3月期決算は、売上高1兆9181億円(前の期比18.5%増)、営業利益1714億8700万円(同7.2%増)、純利益1368億7000万円(同12.2%増)だった。同時に、上限を550万株(発行済み株数の0.95%)、または500億円とする自社株買いを実施すると発表した。取得期間は22年4月22日から23年1月24日までで、経営環境の変化に応じた機動的な資本政策を遂行するためとしている。
■セルシード <7776> 199円 +50 円 (+33.6%) ストップ高 本日終値
セルシード<7776>が急伸。きょう、同社が開発中の軟骨再生シートに関する国内特許について、特許査定となり登録されたことが明らかとなっており、これが材料視されたようだ。同特許は、同種軟骨細胞シートに関する東海大学の佐藤正人教授との共同研究の成果となるもの。この細胞シートについて会社側では、引き続き研究開発を行い2022年末の治験届提出を目指すとしている。
■サイバーステップ <3810> 614円 +100 円 (+19.5%) ストップ高 本日終値
サイバーステップ<3810>は全体地合い悪に逆行して投機資金の攻勢が加速、3日連続のストップ高に買われ目を引く状況にある。今週20日にオンラインクレーンゲーム「ネットキャッチャー ネッチ」を運営するネッチの全株式を取得し子会社化することを発表、これによるシナジーに期待した買いを呼び込み人気化した。同社株は2017年に大相場を形成したが、この時は年初に300円台であった株価が6月下旬に8000円台目前まで買われた経緯がある。市場では「足もとの業績は低迷し、継続疑義注記銘柄だが、それだけに株式需給面での戻り売り圧力も乏しい。ここまでくると材料に反応しているよりは需給相場の様相が強く上値の予想はつきにくい」(中堅証券アナリスト)としている。
■OKK <6205> 1,161円 +142 円 (+13.9%) 本日終値
OKK<6205>が大幅高。21日の取引終了後、23年3月期業績予想を発表。売上高を前期比66.8%増の230億円、営業損益を前期の赤字から黒字転換となる20億円とする見通しを示しており、これが好感されたようだ。工作機械業界の回復基調継続が追い風となるほか、傘下入りした日本電産グループとのシナジー創出によって業績が急拡大する見込み。同時に発表した22年3月期決算は、売上高が前の期比14.1%増の137億9100万円、営業損益が前の期から赤字幅縮小となる10億3900万円の赤字だった。
■メディア工房 <3815> 352円 +32 円 (+10.0%) 一時ストップ高 本日終値
メディア工房<3815>が商い伴い急伸。80円高はストップ高となる400円まで買われる場面があった。きょう午前11時ごろに22年8月期中間決算説明会資料を開示。なかで、団体制マッチングアプリ「バーチャルシェアハウス」を近日リリース予定であることを明らかにした。株式市場でメタバースが高い関心を集めるなか、バーチャル上でのビジネス展開に取り組む企業に対する投資家の視線は熱く、この流れのなか同社に物色の矛先が向かったようだ。
■グローバルウェイ <3936> 555円 +49 円 (+9.7%) 本日終値
グローバルウェイ<3936>が大幅反発。株価は3月30日に687円の年初来高値をつけた後調整し、4月中旬以降に買い直され19日には667円の戻り高値をつけた後再び急落していた。同社株は信用買い残が直近減少傾向にある一方、外資系経由の空売りを呼び込んでおり需給相場の素地をみせている。21日取引終了後、同社傘下のタイムチケットの100%子会社である TimeTicket GmbHの V―tuber プロダクション事業をピアズ<7066>に譲渡することを発表しており、目先はこれを手掛かり材料に投資資金が再攻勢をかけている。
■新日本理化 <4406> 256円 +20 円 (+8.5%) 本日終値
新日本理化<4406>は急伸。21日の取引終了後、22年3月期業績予想の修正を発表。売上高を310億円から323億5800万円(前の期比32.4%増)へ、営業利益を7億円から12億600万円(同4.2倍)へ増額しており、これを好感した買いが膨らんだ。食品・医薬品向け添加剤や日用品向けの結晶核剤が堅調に推移したことが業績を押し上げる。また、原料価格の高騰を受けて製品価格の見直しを行ったことも寄与する。あわせて、保有する遊休資産の減損損失計上を発表しており、これに伴って純利益見通しについては従来予想の6億円から未定(前の期5億100万円)に変更した。
■東京コスモス電機 <6772> 1,699円 +98 円 (+6.1%) 本日終値
東京コスモス電機<6772>は逆行高で4連騰、75日移動平均線を大きく上放れてきた。同社は可変抵抗器を主力に自動車向けセンサーなども手掛けるが、製品値上げ効果もあり、収益の回復が急となっている。21日取引終了後に22年3月期の業績予想の修正を発表、営業利益は従来予想の7億円から8億円(前の期実績4800万円)に増額した。また、経常利益については6億円から8億5000万円(同2億100万円)に修正しており、これは2004年3月期に達成した7億3100万円を18期ぶりに上回り、過去最高更新の見通しとなる。これがポジティブサプライズとなり、株価を強く刺激する格好となった。
■ブティックス <9272> 2,467円 +103 円 (+4.4%) 本日終値
ブティックス<9272>が急反発。21日の取引終了後、集計中の22年3月期単独業績について、売上高が19億6000万円から20億9100万円(前の期比63.6%増)へ、営業利益が4億5200万円から5億8600万円(同2.1倍)へ、純利益が2億8900万円から3億4900万円(同75.9%増)へ上振れて着地したようだと発表しており、これが好材料視された。商談型展示会事業で出展小間契約の獲得が順調に推移し、全出展小間数の約5割を占める「東京ケアウィーク’22」の開催を無事完了したことに加えて、M&A仲介事業で期中の成約が不確実だった複数の案件を3月末にかけて成約したことが寄与した。
●ストップ高銘柄
ジィ・シィ企画 <4073> 1,002円 +150 円 (+17.6%) ストップ高 本日終値
アーキテクツ <6085> 727円 +100 円 (+16.0%) ストップ高 本日終値
など、5銘柄
●ストップ安銘柄
なし
株探ニュース