明日の株式相場に向けて=悲観相場のアンワインドを狙う

市況
2022年4月25日 17時00分

週明け25日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比514円安の2万6590円と続急落。ある程度想定はされていたが、厳しい相場環境に直面している。FRBによる金融引き締め強化の動きに加え、ウクライナ情勢も解決への糸口が見えない状況。更にここにきて中国経済の減速懸念が再浮上している。岸田内閣の支持率上昇は、残念ながら株式市場には微塵の浮揚効果も与えていない。

相場の歯車が逆回転しだすと不思議と悪材料が重なってくる気がするが、これは地合い(の悪さ)が言わせているという部分もある。株価が強調展開にある時は、見えていてもスルーしていた悪材料が、相場全体の足腰が弱くなってくるとすかさず喧伝される傾向が強い。足もとではゼロコロナ政策を背景とした中国景気の減速懸念が、売りをハヤす材料に挙げられている。中国では上海のロックダウンによるサプライチェーンリスクが取り沙汰されてきたが、当然ながら内需景気の減速も助長している。市場では「このロックダウンが北京にも広がる公算が大きく、これが東京市場でも警戒され、中国関連株が売り対象となっている」(ネット証券アナリスト)とする。直近では原油市況にとどまらず、貴金属や非鉄、穀物など商品市況も軒並み下落しており、中国景気減速に身構えるムードが漂い始めた。

コモディティ価格全般の下落自体はインフレを緩和させる意味で中期的にプラス材料となる側面もあるのだが、一方で中国のロックダウンに伴う経済活動のフリーズが、ボトルネック状態の供給不全をもたらしていることで、需要タイトな状態(インフレ状態)が続くことになる。5月3~4日の日程で行われるFOMCを通過すれば、目先アク抜け感が出るという見方もあった。しかし、株安の論点がFRBの一挙手一投足に集中していない状況下では、0.5%の政策金利引き上げと量的引き締め(QT)の開始決定という2つの要素を織り込んだとしても、マーケットは素直にリバウンド局面に向かわない可能性もある。

そして今週はGAFAMの決算が集中する。26日にアルファベット<GOOGL>、マイクロソフト<MSFT>、27日にメタプラットフォーム<FB>、28日にアップル<AAPL>、アマゾン<AMZN>という順番となるが、重要なのはこれらの決算内容ではなく、決算発表を受けた株式市場の反応がどうなるかということだ。例えば、基本的に内容が悪ければ売られることになるが、それにも度合いの差というものがある。

先のネットフリックス<NFLX>のように、ストリーミング会員数の減少という事実が企業価値をどの程度減価させるか定かではないものの、少なくとも株価面ではメガトン級の売りニーズに引火し、時価総額を約7兆円も吹っ飛ばした。これは特異な例としても、GAFAMの決算発表は、まさに配線を切り間違えることへの恐怖が大きく、その影響は株式市場全体をも揺るがす。ここを通過するまでは投資も慎重にならざるを得ず、そこがまた売りを仕掛ける側の付け目となっている。

とはいえ、悲観に凝り固まっていても埒(らち)が明かない。この時期キャッシュポジションを高めておくのは当然としても、どこで買い出動するのかを常に念頭に置いて相場を眺めておく必要がある。悲観の只中にあった3月初旬を思い起こしてみたい。9日に日経平均2万4700円前後まで売り込まれたところでは、まさかその2週間後にザラ場2万8300円台まで水準を切り上げるなどと誰も予想できなかった。今はどうか。日経平均寄与度の高い値がさ株が集中的に売り叩かれている現状は、先物絡みでかなり戦略的な空売りも乗っている可能性を示唆している。日経平均と個別株はまた違うが、タイミング的にはゴールデンウィーク明け、もしくはその前後でいったんアンワインドが入る可能性も考慮される。

あすのスケジュールでは、3月の失業率が総務省から、3月の有効求人倍率が厚生労働省から、いずれも朝方取引開始前に開示される。海外では、1~3月期の韓国GDP速報値、3月の米耐久財受注額、2月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、3月の米新築住宅販売件数、4月の米消費者信頼感指数など。国内主要企業の決算発表ではファナック<6954>、日東電工<6988>、野村ホールディングス<8604>、日本取引所グループ<8697>、キヤノン<7751>などが予定される。海外主要企業の決算発表では、ゼネラル・エレクトリック<GE>、ゼネラル・モーターズ<GM>、テキサスインスツルメンツ<TXN>、アルファベット<GOOGL>、マイクロソフト<MSFT>などがある。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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