山田勉氏【日経平均は再び乱調モード、試練の5月相場を占う】(2) <相場観特集>

特集
2022年4月25日 19時45分

―決算発表本格化を前に思惑錯綜、ここは買いの好機なのか―

25日の東京市場は、連日で大きく下値を探る展開となった。前週末の米国株市場では、FRBによる金融引き締め強化の思惑を背景にNYダウが一時1000ドルを超える下げをみせるなど波乱安の展開を強いられた。東京市場でも企業の決算発表本格化を前に買い手控えムードが強く、日経平均株価は一時2万6500円を割り込む水準まで売り込まれた。5月相場を目前にして投資家はどういうスタンスで株式市場と向き合えばよいのか。経験豊富で相場の見通しにも定評のある市場関係者2人に意見を聞いた。

●「不透明感強いなかも目先はボックス下限に接近」

山田勉氏(auカブコム証券 投資情報室 マーケットアナリスト)

前週末の米国株市場でNYダウ、ナスダック総合株価指数ともに急落するなか、東京市場でも足もとリスク回避ムードが強くなっている。日本ではゴールデンウイーク中に当たる5月3~4日の日程で行われるFOMCがどうなるかにマーケットの関心が集まっているが、ここでの0.5%の政策金利引き上げは織り込んでいるにせよ、量的引き締め(QT)を警戒するムードは拭いきれず、ハイテク株を中心に買い向かいにくい局面にある。

また、米国株市場では注目度の高いGAFAMの決算発表が相次いでおり、特に28日にはアップル<AAPL>とアマゾン・ドット・コム<AMZN>が予定されるほか、インテル<INTC>も同日に行われることで、これらの結果を見極めたいとのニーズが強い。ところが、日本株市場は29日から3連休となることで、ここでの決算発表と米国株市場の反応を反映するのは5月2日まで待たなければならない。このため、今週はなおさらリスクが取りにくい状況となっている。

国内企業の決算発表は5月10~13日で全体の4分の3が発表されることになるが、その際に、直近の円安効果が前期決算に乗ることで、発射台が高くなる分だけ今期予想の伸び率が鈍化するという不利感は否めない。4月1日に発表された3月の日銀短観は前提為替レートが1ドル=112円で実勢とのカイ離が際立っている。そうしたなか、企業にすれば今期想定為替レートにも頭を悩ませるところ。加えて、終結のメドが立たないウクライナ情勢やIMFの世界経済見通し下方修正なども先行き不透明感を助長している。FRBの金融引き締めによる経済のオーバーキルが懸念されるほか、国内では岸田政権による補正予算の規模が2兆5000億円程度と小さいことも市場心理を冷やす要因となっている。

外国為替市場では円安が進行しているが、これを「悪い円安」と定義づけることで日銀の緩和政策すら槍玉に挙げる状況にあり、なかなか株式市場もポジティブ材料に恵まれない環境にある。もっとも目先はオーバーシュート気味に下げており、ここからの下値リスクという点では限定的であろう。5月相場の日経平均のレンジは2万6000円から2万8000円での値動きを予想している。投資対象としてはバリュー株優位で、空運鉄道外食旅行などのリオープン関連が相対的に強さを発揮しそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(やまだ・つとむ)

マーケットアナリストとして証券界で十数年活躍。2004年5月、カブドットコム証券(現auカブコム証券)入社。『こちカブ』(ラジオNIKKEI)『まーけっとNavi』(日テレNEWS24)『マーケットホットライン』(ストックボイス)などに出演。

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