明日の株式相場に向けて=迷走するコロナマネー、流れ着く先は

市況
2022年4月26日 17時00分

きょう(26日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比109円高の2万6700円と3日ぶり反発。前日の米株市場の引け味が良かったことで、市場のセンチメントが改善した。ただし見ての通り値動きは重い。前週末と週明けの2営業日合計で日経平均は960円あまりの下落をみせていたこともあり、とりあえず自律反発したものの2万6800円近辺が戻りいっぱいの水準。そこから上を買い進む動きには発展しなかった。今期好業績見通しを発表した企業でも売りの洗礼を浴びるようなケースが散見され、決算発表本格化を前に“決算跨ぎ”で買うことの不利感が強く意識されている。

前日の米国株市場は中国景気減速への警戒感で取引前半は売り物に押される展開を余儀なくされていたが、終盤にかけて主要株価指数いずれも尻上がりに下値を切り上げる展開となった。米長期金利が急低下し、一時10年債利回りが2.7%台まで水準を切り下げたことで、これまで目の敵のように売られていたハイテク系グロース株への買い戻しを誘発した。ハイテク株の割合が多いナスダック総合株価指数は1.3%高となり、NYダウS&P500指数と比較しても上昇率は大きくなっている。

しかし、これで視界が開けた印象はない。中国では上海以外にも北京など他の主要都市でロックダウンの動きが広がるとの見方が強く、これが経済に与える影響が警戒されている。前日の米株上昇は、米長期金利低下を好感したものだが、裏を返せば中国経済の低迷を警戒して安全資産である米国債が買われ、その結果利回りが低下したという流れである。いわば懸念材料の副産物を、たまたま買い手掛かりとしているようなものだ。何とも先行き心許ない。そんな思惑がきょうの上海株市場にも投影された。上海総合指数は前日急落の反動もあって午前中は高かったものの、午後に入ると次第安の展開でマイナス圏に沈んだ。

足もと原油価格が急落しているが、これにとどまらず貴金属や非鉄など商品市況全般が下落している。これはどう捉えたらよいのか。何かと中国経済に紐づける傾向があるが、産業需要を反映する銅市況の急反落は説明できても、金市況の場合は単純にインフレヘッジを狙った投資資金の流入であるため、直接的には直近の金価格の下落は中国と関係がない。中国のロックダウンが経済の活力を止め世界的なインフレを緩和させるとするなら、これは怪我の功名ともいうべきグッドシナリオだが、原点に戻ればインフレの増幅装置となっているのは中国のロックダウンがもたらしたサプライチェーン問題にほかならず、まさに理屈では堂々巡りで解答にたどり着けない迷走の極みとなっている。

FRBは5月初旬開催のFOMCで政策金利の引き上げ幅拡大に加え、バランスシートの縮小も同時進行させる超タカ派的なアクションを宣言する公算が大きくなった。ただ、今は時間軸として資金回収に入る前のモラトリアム期間であり、リアルタイムで考えればまだ引き潮ではなく市場には高水準のマネーが滞留している。この資金がどこに向かえばいいのか、行き場を失っている状態だ。IMFは今月19日に世界経済見通しで22年の世界のGDPを1月時点から0.8ポイント下方修正し前年比3.6%に引き下げた。しかし、一方で米国のインフレ率は7.7%という見通しを示している。昨年10月時点で3.5%であったから、普通に考えれば驚愕に値する上方修正だ。

コロナマネーによる反動はどういう形にせよ今後顕在化する。発想を転換すれば、株価がどこで立ち直るかではなく、明確に下落トレンドに移行するまで、FRBは不退転の決意で引き締め政策の手綱を緩めない方針といえるかもしれない。これにECBも早晩追随する可能性が高い。そう考えれば、逆張りとはいえ中期スタンスで株式市場に資金を寝かせるのは時期尚早、買いを考えるのなら短期のリバウンド狙いに徹するところであろう。

あすのスケジュールでは、日銀の金融政策決定会合(~28日まで)、2年物国債の入札、3月の建設機械出荷額など。また、IPOが2社予定されており、グロース市場にモイ<5031>、ストレージ王<2997>が新規上場する。海外では1~3月の中国工業企業利益、1~3月の豪消費者物価指数(CPI)、3月の米仮契約住宅販売指数など。なお、国内主要企業の決算ではエムスリー<2413>、イビデン<4062>、信越化学工業<4063>、オリエンタルランド<4661>、アドバンテスト<6857>、JR東日本<9020>などが発表される。海外主要企業の決算発表では、ボーイング<BA>、クアルコム<QCOM>、アムジェン<AMGN>、メタプラットフォームズ<FB>などが予定されている。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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