来週の株式相場に向けて=「インベスト・イン・キシダ」の効果は
6日の東京株式市場は、ゴールデンウイーク(GW)の谷間で、なおかつ5日のNYダウは1000ドル超の急落。今晩は米4月雇用統計の発表を控えていることもあり、いったんポジション調整の売りが膨らむ展開も警戒された。しかし日経平均株価は堅調で、結局185円高となり4月22日以来の2万7000円を回復した。売買代金も3兆円を超えた。
「富士通<6702>やコマツ<6301>など堅調な決算を発表する銘柄も少なくないうえに、足もとの円安効果を前向きに評価する買いも流入している様子だ」(アナリスト)との声も出ている。この日、為替相場は一時1ドル=130円80銭前後まで円安が進行。足もとでは、日本株のパフォーマンスが米国株を上回る動きも出ている。今日の相場で印象的なのは、外国人観光客の受け入れ再開に向けた動きでラオックス<8202>やHANATOUR JAPAN<6561>が急伸し、原子力発電の有効活用に絡み東京電力ホールディングス<9501>が買われたことだ。
この日の全体相場の堅調さに関しては「岸田首相が5日にロンドンの金融街シティーで講演を行ったことの効果が、全くなかったとも言い切れないのでは」(市場関係者)との声もある。「インベスト・イン・キシダ」と岸田首相は呼びかけたが、3月には野村証券が「海外キャラバン隊」を組んで、欧米の投資家に日本株を売り込んだと伝えられている。足もとの円安もあり、これから日本株見直しの動きが本格化するのか。それとも、やはり米金利高によるハイテク株安の流れに埋没するのか。その動向を見極めるうえでも、来週に佳境を迎える決算発表は重要なファクターとなる。
来週は9日に日本郵船<9101>、10日にソニーグループ<6758>、任天堂<7974>、日本製鉄<5401>、11日にトヨタ自動車<7203>、INPEX<1605>、パナソニック ホールディングス<6752>、12日にソフトバンクグループ<9984>、東京エレクトロン<8035>、13日にホンダ<7267>、SMC<6273>などが決算を発表する。とりわけ、トヨタやソニーGなどの決算内容は市場全体に影響しそうだ。
また、海外では11日に発表される米4月消費者物価指数(CPI)は、インフレ懸念の行方を探るうえで目が離せない。また、9日はロシアの「対独戦勝記念日」であり、ウクライナ情勢に何らかの動きがあるかが注目されている。来週の日経平均株価の予想レンジは2万6400~2万7400円。(岡里英幸)
最終更新日:2022年05月06日 17時58分