富田隆弥の【CHART CLUB】 下げ基調を脱せぬ米国株
◆日本が3年ぶりに迎えた制限なしの大型連休の最中、米国の株式市場は大きく乱高下。5月4日のNYダウはFOMC(米連邦公開市場委員会)の後に急伸して932ドル高で終えた。0.5%の利上げを織り込み済みとして反転するかに思えたが、翌5日は一転して下落幅が一時1300ドルを超し、1063ドル安で引けた。FOMC後の米国株の推移がポイントになると見ているが、これではまだその方向性を把握できる状況にない。
◆NYダウの週足チャートは、1月5日高値の3万6952ドルをピークに調整入りし、3月と4月に一時3万5000ドル台を回復したものの、52週移動平均線を抜け切ることができず、軟調な地合いが続いている。ナスダックの週足は昨年11月高値の1万6212ポイントをピークに一足早く調整入りし、3月に1万4646ポイントまで戻したが、やはり割り込んだ52週線を抜くことができず軟調に推移している。
◆つまり、米国株のチャートはどちらも「陰転」したままであり、「好転」を確認するには52週線の突破が必要となる。それを確認するまでは、下落基調の中で乱高下を繰り返す可能性がある。チャートの陰転が示唆するものは、投資家の採算が悪化していること。下落基調がダラダラ続くと、先行きどこかでセリング・クライマックスの局面を迎えることも否定できなくなる。
◆日経平均株価は、昨年9月高値の3万0795円から調整が続いている。高値から6カ月の3月に安値2万4681円から戻りに転じたが、200日移動平均線や52週移動平均線の位置する厚い節目を抜けずに2万8338円で頭を打ち、軟調な推移が続く。
◆調整期間が7カ月を経過し、テクニカル的にはいつ底打ちしてもおかしくない。好転信号が灯る「3月高値2万8338円の突破」が待たれるところだが、チャートは依然として調整基調のままだ。そして、日本株は「米国市場次第」であるから、NYダウやナスダックの推移がカギを握ることになる。深まる地政学的リスク、高まるインフレ懸念と外部環境は険しく、ここは慌てることなく様子見の姿勢をもう少し続けたい。
(5月5日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース