9日の米国市場ダイジェスト:NYダウ653ドル安、景気後退入りを警戒
■NY株式:NYダウ653ドル安、景気後退入りを警戒
米国株式市場は続落。ダウ平均は653.67ドル安の32245.70ドル、ナスダックは521.41ポイント安の11623.25で取引を終了した。連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策の正常化を目指し緩和解除を開始したため、投資家によるリスク資産を軽減する動きが続き、寄り付き後、下落。中国のコロナによる都市封鎖も継続しサプライチェーン混乱も継続、加えて、FRBの急速な利上げにより景気後退入りへの懸念も強まり、引けにかけては下げ幅を拡大した。セクター別では、エネルギーや自動車・自動車部品の下落が目立った一方で、家庭・パーソナル用品が小幅上昇。
肉食品メーカーのタイソン・フーズ(TSN)は四半期決算で1株利益が予想を上回り、上昇した。また、景気動向に左右されにくいスーパーマーケットのクローガー(KR)、ディスカウント小売りのウォルマート(WMT)、食品会社のキャンベルスープ(CPB)やゼネラル・ミルズ(GIS)、消費材メーカーのクロロックス(CLX)など、軒並み買われた。一方で、ソフトウェアメーカーのパランティア(PLTR)は、第1四半期決算で調整後の1株利益が予想を下回り、大幅下落。配車サービスのウーバーテクノロジー(UBER)は、最高経営責任者(CEO)がマーケティングや従業員への報奨金などのコストを削減する計画を明らかにし、売られた。電気自動車メーカーのリビアン(RIVN)は、新規上場後の株式保有が強いられるロックアップの解除に伴い自動車メーカーのフォード(F)をはじめ、既存株主やインサイダーによる保有株巨額売却で、大幅安。
バイオのノババックス(NVAX)は取引終了後に決算を発表。内容は予想を下回り、時間外取引で売られている。
Horiko Capital Management LLC
■NY為替:米国の景気後退やスタグフレーション懸念でリスクオフ
9日のニューヨーク外為市場でドル・円は、131円02銭から130円12銭まで下落し、130円27銭で引けた。米連邦準備制度理事会(FRB)の急速な引き締めで米国経済が景気後退入りするとの懸念や、同時に高インフレも制御できず、スタグフレーション懸念などが強まり、リスク回避の円買いが優勢となった。投資資金が安全資産として米国債にも向かい、債券利回りも低下したためドル買いも後退した。
ユーロ・ドルは1.0517ドルまで下落後、1.0593ドルまで反発し、1.0560ドルで引けた。ロシアのプーチン大統領が9日の対独戦勝記念式典の軍事パレードにおいて、警戒されていたような正式な宣戦布告をしなかったため、戦況の一段の深刻化で欧州経済の成長も停滞するとの懸念は後退。ユーロの買い戻しが観測された。ユーロ・円は138円25銭から137円07銭まで下落。ポンド・ドルは1.2406ドルまで上昇後、1.2301ドルまで反落。ドル・スイスは0.9893フランから0.9966フランまで上昇した。
■NY原油:大幅反落で103.09ドル、世界経済の減速懸念高まる
NY原油先物6月限は大幅反落(NYMEX原油6月限終値:103.09 ↓6.68)。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物6月限は、前営業日比-6.68ドルの103.09ドルで通常取引を終了した。時間外取引を含めた取引レンジは102.13ドル-110.49ドル。アジア市場の序盤で110.49ドルをつけたが、その後は下げる展開。供給不安は消えていないものの、世界経済の減速懸念が強まり、売りが優勢となった。ニューヨーク市場の中盤以降に下げ幅は拡大し、通常取引終了後の時間外取引で株安を意識して102.13ドルまで一段安となった。
■主要米国企業の終値
銘柄名⇒終値⇒前日比(騰落率)
バンクオブアメリカ(BAC) 36.37ドル -1.08ドル(-2.88%)
モルガン・スタンレー(MS) 81.15ドル -3.08ドル(-3.66%)
ゴールドマン・サックス(GS)308.89ドル -4.07ドル(-1.30%)
インテル(INTC) 43.07ドル -1.23ドル(-2.78%)
アップル(AAPL) 152.06ドル -5.22ドル(-3.32%)
アルファベット(GOOG) 2261.68ドル -51.52ドル(-2.23%)
フェイスブック(FB) 196.21ドル -7.56ドル(-3.71%)
キャタピラー(CAT) 206.29ドル -8.36ドル(-3.89%)
アルコア(AA) 54.21ドル -6.83ドル(-11.19%)
ウォルマート(WMT) 151.31ドル +1.75ドル(+1.17%)
《ST》