止まらない米株安受け一時1200円安も短期リバウンド条件が揃い始めた/後場の投資戦略

市況
2022年5月10日 12時14分

日経平均 : 26074.53 (-244.81)

TOPIX  : 1860.71 (-17.68)

[後場の投資戦略]

前日の米国市場は全面安商状。幅広い年限で債券利回りが低下するなかではあったが、ハイテク・グロース株の売りは止まらず、ナスダックやフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は再び急落した。これまで相場の下支え役だった石油や建設機械といったコモディティ・景気敏感株も、景気後退懸念が強まるなか大きく売り込まれた。ビットコイン(BTC)など暗号資産(仮想通貨)の価格も足元で厳しい下落トレンドが続いており、今朝には一時1BTC=30000ドルを割り込む場面もあった。ほぼ全ての資産クラスが大幅に下落しており、完全に投げ売りの状態だ。

一方で、こうしたやや乱暴とも言える動きが出てきたことは、短期的にはそろそろ底打ちを期待させてくれる。実際、昨日の米株市場の急落においては、出来高が直近に比してそれなりに大きめの水準まで膨らんでいた。S&P500指数への組み入れ銘柄を対象とした計算では、3月18日以来の出来高水準だった。見境のない投げ売りや出来高を伴った急落により、需給整理が進んだともいえる。

本日の前引け時点での東証プライム市場の売買代金は1兆6000億円超とまずまず大きく膨らんでいる。出来高と値幅を大きく伴った日が先週末6日から3日続いていることで、東京市場でも需給整理が少しは進んだだろう。また、朝方の一時急落により、日経平均は3月16日の高値25824.94円を上端としたマド埋めを完了。昨日からの下落幅も考慮すると、テクニカル的にも値幅的にも短期的には底打ち感が台頭してくるタイミングが近づいていると言えそうだ。明日11日に発表予定の米4月消費者物価指数(CPI)で、3月CPIに続きインフレピークアウトが確認できれば、買い戻しが強まる展開が期待されよう。

一方、ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・コスティン氏らストラテジストチームは、前日、米国株の見通しはあまり明るくないと顧客向けリポートで指摘。「インフレの軌道が明確になるまで、値動きが大きい展開は続く」とし、「金融状況の引き締まりや市場の流動性不足を踏まえれば、3月下旬と同様の規模の短期的な上げ相場が到来すると論じるのは難しい」とコメントしたという。

市場関係者の間でも、相場の先行きについては依然として大きく強気派と弱気派に分かれており、相場の見方がある程度収れんしてこない限りは、まだまだボラティリティー(変動率)の高い相場環境が続かざるを得ないだろう。11日の米4月CPIでインフレピークアウトを確認できれば、インフレ対応で後手に回ったのではないかとの見方から疑念が強まっているFRBに対する信任が少しでも回復する可能性がある。弱気派の過度な悲観も後退し、ボラティリティーの低下に寄与してくれるのではないかと期待したい。

さて、後場の東京市場は戻りを試す展開か。上述したように日経平均は3月16日高値を上端としたマド埋めを完了し、値幅的にも調整一巡感が台頭してくる頃合いだ。実際、朝方540円超下落していた日経平均は、前引けにかけて急速に下げ渋り、割ったばかりの26000円を早々に回復してきている。こうした下げ渋りは前日の急落時には見られなかった動きであり、売り一巡を感じさせてくれる。時間外取引のナスダック100先物が堅調に推移していることで、今晩の米株市場での反発も見込まれる。午後の東京市場では、売り方の買い戻しに期待したい。(仲村幸浩)

《AK》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.