明日の株式相場に向けて=波乱再び、突っ込み買いの好機到来か

市況
2022年5月19日 17時00分

きょう(19日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比508円安の2万6402円と大幅反落。一時は寄り後早々に700円超の下落で2万6000円大台攻防も意識させたが、そこまでは沈むことなく、結局朝方につけた2万6150円が下値限界となった。後場は比較的安定した値動きとなり、2万6000円台半ばで売り物をこなした。

前日の米国株市場ではNYダウが1100ドル超の急落で今年最大の下げ幅を記録、年初来安値を更新したほか、ナスダック総合株価指数は新安値ではないものの、例によってNYダウを大幅に上回る4.7%の下落率でハイテク株への逆風の強さを物語っている。S&P500指数の4000大台を巡る戦いは、週末20日のオプションSQ算出を目前に目まぐるしい展開が続くが、前日は売り方が土俵際ガブリ寄りから力尽くで押し出した(4000ラインを割り込ませた)格好となっている。今晩の米国株市場の“最終決戦”がどうなるかに耳目が集まる。このSQ攻防が御破算となる来週はいったん戻りに転じるかもしれないが、ここまで全体指数が崩れ足となると短期間での復元は困難を伴う。

市場では「(米国の)投資マインドはかなり冷え込んでいる状態で、マーケットから退出する投資家も増えている。そしてこれは政府やFRBが確信犯的に行っている、インフレ対策として労働市場に人を回帰させるための手段でもある」(ネット証券アナリスト)という声が聞かれる。つまり、複数の要素が絡み合うインフレ高進は人手不足による部分も大きく、それは「にわか株式トレーダー」が増え過ぎたことによる影響も大きいという論理で、それを元に戻そうという話だ。冗談のようにも聞こえるが、最近のバイデン大統領とパウエルFRB議長の言動はあながちこれを否定していないようにも思える。

もっとも、日本株は米国株に比べれば相対的優位を保っているということはいえそうだ。黒田日銀総裁は明らかに株式市場にとってフレンドリーな存在のままで、全くゾンビ化していない。世界的な金利上昇圧力が高まるなか、長期金利0.25%ラインを死守すべく毎日「指値オペ」を実施する、その徹底した金融緩和姿勢は株式市場にとっては心強い。いずれは日本にもインフレ圧力が及び、これに耐えられず「黒田総裁、お前もか」となる可能性も低くないが、それでも現状は海外投資家にとって「株式に資金を振り向けるのであれば日本が有利」という結論が導き出されることに違和感はない。

また、きょうは後場に日経平均が下げ渋ったが、日銀のETF買いが久々に発動された可能性がある。遡れば4月7日以来で、最近は忘れ去られていた感も拭えないほどご無沙汰だが、TOPIX前引け2%超下落で律儀に買い出動したとすれば、これはマーケットにとって慈雨である。米国株がここから更に大きく下げた場合は、日本株もリスクオフの波に晒されるのは仕方ないとしても、世界でも稀有な「中央銀行を味方にしているマーケット」という認識は、突っ込みリバウンド狙いの買いを入れる際には強力な“御守り”となりそうだ。

こういう相場でもリスクオフ一色というわけではない。輝きを放っている銘柄はある。特筆されるのは三菱重工業<7011>。“リアル防衛関連”で新値街道をまい進中だ。その隣の川崎重工業<7012>やIHI<7013>も強い動きで、海運大手3社のようなドミノ現象的な上昇トレンドとなっている。有事モードならではのキナ臭さもあるのだが、こうした大型株への継続買いは後ろに機関投資家(ファンド系資金)の本尊がいる可能性を物語る。

このほか、中小型株でも波乱相場の間隙を縫って上値を指向する銘柄が少なくない。まず、Shinwa Wise Holdings<2437>のチャートには驚かされる。また、東大発バイベンチャーで富士フイルム系のペルセウスプロテオミクス<4882>やメタバース周辺の穴株、東京通信<7359>が急動意。まだ商いは薄いが、超ハイスペックX線集光ミラーの開花が近いジェイテックコーポレーション<3446>なども波動の変化を感じさせる。

あすのスケジュールでは、4月の全国消費者物価指数(CPI)、4月の食品スーパー売上高、4月の主要コンビニエンスストア売上高などが注目される。また、損保大手の決算発表が予定されており、東京海上ホールディングス<8766>、MS&ADインシュアランスグループホールディングス<8725>、SOMPOホールディングス<8630>が22年3月期決算を発表する。海外では5月の中国最優遇貸出金利、4月の英小売売上高など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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