ようやく海外旅行も自由に、クレカ付帯の旅行保険の活用法

清水香の「それって常識?　人生100年マネーの作り方-第49回

清水香(Kaori Shimizu)
FP＆社会福祉士事務所OfficeShimizu代表
1968年東京生まれ。中央大学在学中より生損保代理店業務に携わるかたわらファイナンシャルプランナー（FP）業務を開始。2001年に独立後、翌年に生活設計塾クルー取締役に就任。2019年よりOfficeShimizu代表。家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組む。一般生活者向けの相談業務のほか執筆、企業・自治体・生活協同組合等での講演活動なども幅広く展開、テレビ出演も多数。 財務省の地震保険制度に関する委員を歴任、現在「地震保険制度等研究会」委員。日本災害復興学会会員。

コロナ禍で制限されていた海外旅行ですが、受け入れ先の入国規制の緩和も進み、ゴールデンウィーク（GW）中にハワイに渡った日本人観光客は昨年の5倍に上りました。

残念なことに、急激な円安の進行で海外旅行のハードルは上がっていますが、厳しいお財布事情でも端折ってならないのが、海外旅行保険です。

損害保険会社に直接申し込んで加入する方法もありますが、クレジットカードに無料で付帯されている保険もあります。クレジットカードによって、この付帯保険の内容も微妙に異なっているので、代表的なカードで中身を見ていきましょう。

日本では9万円足らずの虫垂炎の治療が、500万円超のケースも

海外旅行では、海外旅行保険の加入は必須といっても過言ではありません。万が一、旅行先で病気やケガをしてしまうと、日本では考えられないような医療費の自己負担が必要になるからです。

たとえば、虫垂炎。国民皆保険制度のある日本では、その人の所得に応じて多寡はありますが、治療で入院しても、年収370万～770万円の人では、ひと月最大9万円の自己負担で済みます。

それが、英国では305万円、米国では515万円もかかる例があります（下の表）。英国の例は、国内から家族が入院先に駆けつけた費用も含まれていますが、含まない場合でもゆうに100万円は超える金額になってしまいます。

■海外旅行中の病気やケガと支払われた保険金

強盗や盗難に遭ったり、過失から他人に損害を与えたりすれば、旅どころではなくなります。そもそも言語がうまく通じないなかで、体調の不具合を説明したり、ややこしいトラブル対応を行ったりすることは、よほど旅慣れた人でもない限り、かなり高いハードルです。

こんなときこそ、"備えあれば患いなし"。海外旅行保険に加入していれば、ケガや病気の治療費や家族駆け付け費用、携行品損害、第三者への賠償責任などの損害がカバーできます。

海外旅行保険を提供する損害保険会社が設ける日本語事故受付デスクは各所にあり、どの国からでもアクセスできます。トラブル時に速やかに連絡して相談できれば、よりスムーズな解決が望めるでしょう。

病院で支払う診療費は、海外旅行保険ではキャッシュレスサービスが主流。紹介された病院で診療を受ければ、診療費を立て替える必要もありません。

「セゾンカード」は国内・海外いずれも補償

ここから、本題のクレジットカードに付帯されている海外旅行保険の補償やサービスについて、一般カードに付帯している内容で確認していきます。

クレディセゾン<8253>の推計によれば、クレジットカードのマーケットシェアは、以下の通りです。そこで、この５社が提供するカード付帯の海外旅行保険の内容を比較してみましょう。利用要件や補償、サービスの内容はカードで異なり、利用にあたって注意点もあります。

まず「旅好きの人にはお得」と評判のあるクレディセゾンの「セゾンカード」から見てみましょう。同カードに付帯する旅行保険の特徴は、海外・国内の旅行が対象で、しかも比較的高い補償額を確保できる点です。

■クレジットカードの国内ショッピング取扱高シェア