来週の株式相場に向けて=米CPIなど焦点、参院選と安倍元首相死去の影響も注視
8日の株式市場は、前場は日経平均株価が400円近い上昇を演じていたが、安倍元首相銃撃の報道を受け後場に入るとムードは一変。相場は売りが優勢となり結局26円高で引けた。
「安倍氏は現職の総理ではなく、岸田首相も安倍路線はある程度引き継いでいる。直接的な影響は限定的だろう」とみる声は少なくない。しかし、「安倍氏の知名度は高く、海外投資家がどう反応するかは不明」(市場関係者)と警戒感も出ている。10日に投開票される参院選の直前でもあり、新たな不透明要因と指摘する声もある。安倍氏は午後6時前に亡くなったと伝わった。なお、この日の引けにかけての売りは「噂されていたETF分配金捻出に絡んだものでは」との観測も出ていた。
国内の政治に絡む要因を別にすれば、最大のポイントはやはり米国動向だ。今晩発表の米6月雇用統計の結果が注目されるほか、とりわけ関心が高いのが13日の米6月消費者物価指数(CPI)だ。市場では6月CPIは5月の前年同月比8.6%上昇に対して、8.8%上昇との予想も出ている。これまで相場の波乱要因となったCPIだが、もし物価上昇率に低下の兆しが出るようなら、NYダウやナスダック指数の反騰に一段の弾みがつく可能性がある。一方、高水準のCPIが続くのなら、米株式市場は再び調整色を強めることになりそうだ。
また、来週は14日に米6月生産者物価指数(PPI)、15日に米6月小売売上高が公表される。15日の中国4~6月国内総生産(GDP)なども関心を集めそうだ。更に、米国は決算シーズンに突入する。14日にJPモルガン<JPM>やモルガンスタンレー<MS>、15日にシティグループ<C>と金融関連の発表があるが、14日に予定されている半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)ADR<TSM>の決算も要注目だ。
国内でも、消費関連企業などの決算が多く11日のローソン<2651>やコーナン商事<7516>、12日のビックカメラ<3048>や東宝<9602>、13日の吉野家ホールディングス<9861>、14日のファーストリテイリング<9983>、15日のベイカレント・コンサルティング<6532>などが注目されそうだ。来週の日経平均株価の予想レンジは2万6200~2万6900円前後。(岡里英幸)