GPIF、21年度末の国内株式運用資産は48.9兆円(2347社保有)、新規に「47社」取得
世界最大級の年金基金とされる、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は7月1日に2021年度の資産運用状況を発表した。運用実績は10兆0925億円の黒字と過去最高だった前年度の37兆7986億円の黒字から大幅に縮小したものの2年連続で黒字を達成した。今年に入り米国の金融引き締め観測やロシアによるウクライナ侵攻といった逆風があったが、世界的な景気回復期待を背景とした株高による21年末までの運用益で補い黒字を確保した。運用資産全体の収益率は5.42%だった。そのうち国内株式は収益率が2.12%、運用実績は1兆0871億円の黒字となった。GPIFの運用資産は22年3月末時点で196兆5926億円にのぼり、世界最大規模の機関投資家として運用動向は世界的に注目されている。その資産構成(オルタナティブ資産を含むベース)は国内株式が49兆5137億円、国内債券が53兆2357億円、外国株式が50兆7700億円、外国債券が48兆6784億円となっている。
国内株式では、上場企業の株式を直接保有する運用資産が48兆9475億円(22年3月末時点)に達し、日本全体の株式時価総額730兆円(同)に対して約6.7%を占める、日本市場における最大の株主でもある。また、保有銘柄も2347社と広範囲に及ぶ。保有時価総額ベースではトップがトヨタ自動車 <7203> [東証P]、2位がソニーグループ <6758> [東証P]、3位はキーエンス <6861> [東証P]と並ぶ一方、持株比率ベースではトップがスミダコーポレーション <6817> [東証P]、2位がイー・ガーディアン <6050> [東証P]、3位はニフコ <7988> [東証P]となっている。
前年度からの変化を見ると、保有銘柄数は2417から2347に70銘柄減っている。ビジョナル <4194> [東証G]、シンプレクス・ホールディングス <4373> [東証P]、ネットプロテクションズホールディングス <7383> [東証P]など47銘柄を新規に取得した一方、117銘柄を売却しポートフォリオから外している。また、持株比率が3%以上増えた銘柄はポピンズ <7358> [東証P]、ゴルフダイジェスト・オンライン <3319> [東証P]、マネーフォワード <3994> [東証P]など8銘柄だった。一方、 3%以上減った銘柄は東京精密 <7729> [東証P]、サンデン <6444> [東証P]、ニデックオーケーケー <6205> [東証S]など8銘柄となっている。
なお、GPIFは保有株を信託銀行などに信託しているため、有価証券報告書の「大株主の状況」には登場しない。
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