窪田朋一郎氏【日経平均の戻り足続く、大勢上昇波動転換はいつ?】 <相場観特集>
―日米欧の金融政策会合を控え、マーケットの関心高まる―
週明け19日の東京株式市場では、日経平均株価が一時2万7000円台を回復した。きょうで4日続伸となり、投資家のセンチメントも大分改善しているが、来週以降は国内企業の決算発表も本格化することで、今一つ上値の重い展開を強いられている。7月下旬から8月相場の見通しについて、市場第一線で活躍する松井証券の窪田朋一郎氏に意見を聞いた。
●「秋口までは膠着状態の相場が続く」
窪田朋一郎氏(松井証券 投資メディア部長 シニアマーケットアナリスト)
東京株式市場は目先戻り相場にあり、今月12日に日経平均が475円安と大きく下押した以外は、強調展開が目立っている。ただ、日経平均はきょうで4日続伸とはいえ、値幅的には小刻みで2万7000円台近辺では戻り売り圧力が依然として意識されやすい状況にある。大勢トレンドでみれば、ここ数日の戻りはアヤ戻しの領域であり、マーケットは現時点で強気に傾いているという印象は受けない。
テクニカル的には200日移動平均線の位置する2万7620円どころがひとつのポイントで、ここを上抜けるかどうかが中長期波動を占う上では重要だが、当面はボックス圏での膠着状態が続く公算が大きいとみている。日経平均の見通しとしては、9月までは2万5500円を下限、2万7500円を上限とするゾーンでの往来を繰り返すのではないか。
今週行われる日銀の金融政策決定会合では大規模金融緩和策の維持が濃厚で、21日の会合後の黒田日銀総裁の記者会見でも、政策変更に向けたニュアンスの発言は依然として封印された状態となろう。一方、同日に金融政策を発表する欧州中央銀行(ECB)理事会では11年ぶりとなる利上げが、事前のブログなどで既に言及され確実視されている。
そして、来週26~27日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果にも市場の関心が極めて高い。一時は1.0%の大幅な政策金利引き上げが有力視されたものの、その後の商品市況の下落を受けて過度な金融引き締めへの思惑が後退、現状は6月に続く0.75%の利上げがメインシナリオとなっている。これら各国中央銀行の金融政策はかなりの部分で織り込みが進んでいることから、株式市場にとって大きな波乱要因とはなりにくいと思われる。
全体論としては売りも買いも一方向にポジションを傾けにくい地合いが続き、一進一退というイメージでみているが、個別の注目セクターとしては、このところエネルギー価格の下落で売られていたINPEX <1605> [東証P]など資源関連株や、銅市況の軟化などを背景に値を崩していた住友金属鉱山 <5713> [東証P]をはじめとした非鉄関連株などの戻りに着目したい。また、半導体製造装置関連株はレーザーテック <6920> [東証P]や東京エレクトロン <8035> [東証P]など主力銘柄へのリバウンド狙いの買いは有効と考えるが、中長期の戻りはまだ期待しにくく、短期回転を前提とする押し目買いスタンスに徹しておくところだろう。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券に入社後、WEBサイトの構築や自己売買担当、顧客対応マーケティング業務などを経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。日々のマーケットの解説に加えて、「マザーズ信用評価損益率」や「デイトレ適性ランキング」「アクティビスト追跡ツール」など、これまでにない独自の投資指標を開発。
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