10月には火災保険料の値上げ、保険料を抑える「3つの方法」
清水香の「それって常識? 人生100年マネーの作り方-最終回
FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表
1968年東京生まれ。中央大学在学中より生損保代理店業務に携わるかたわらファイナンシャルプランナー(FP)業務を開始。2001年に独立後、翌年に生活設計塾クルー取締役に就任。2019年よりOfficeShimizu代表。家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組む。一般生活者向けの相談業務のほか執筆、企業・自治体・生活協同組合等での講演活動なども幅広く展開、テレビ出演も多数。 財務省の地震保険制度に関する委員を歴任、現在「地震保険制度等研究会」委員。日本災害復興学会会員。
前回記事「ようやく海外旅行も自由に、クレカ付帯の旅行保険の活用法」を読む
エアコンが不要な季節にもかかわらず、わが家の5月分の電気料金は前年比128%と大幅に増えていました。梅雨明け後の猛暑以降は、エアコンが終日稼働しています。
加えて8月には、電力大手4社による電気代の大幅値上げも決まっています。来月以降の電気料金の請求書を見るのが憂鬱なのは、筆者だけではないでしょう。
電気料金に限らず、食料品やガソリンをはじめ、電化製品や家具に至るまで多くのものが値上がりしているのはご存じの通り。5月の消費者物価指数は前年同月比2.5%上昇、秋以降は値上げラッシュが待ち構えています。
さらにもう1つ。10月以降に契約する大手損保の火災保険料が見直されます。
風水災による被害が各地で相次ぐなか、2018年と19年にはそれぞれ、過去に類を見ない1兆円超の保険金が支払われ、火災保険の収支は近年、恒常的な赤字に転落しています。こうした事態への対応で、火災保険料は全国平均で10%超引き上げとなります(地域・建物等により個別に異なる)。
さらに今後2~3年のうちに、火災保険料は再度見直される見通しです。温暖化の影響で近年水災が激甚化、被害が各地で相次いでいることから、居住地の水災リスクを反映し、地域で細分化された保険料に見直す検討が進んでいるからです。浸水や土砂災害のリスクが高い居住地は、この先保険料の負担が増す可能性があります。
火災保険は、生活基盤に深刻な打撃を与える事態に備えるもので、負担だからとやめるわけにはいきません。しかし、工夫次第で保険料を抑えることは可能です。具体的に見ていきましょう。
火災保険料は契約のしかた次第で負担が変わる
火災保険は、火災で受けた住宅や家財の損害をカバーできる保険で、火災のみならず自然災害や偶然な事故で受けた損害も広く対象になります。ただし、地震による損害は火災保険では補償されないため、火災保険に地震保険を付帯して補償を受けます。
持ち家世帯は住宅と家財に、賃貸世帯は家財の火災保険に加入して補償を受けます。
■火災保険で補償を受けられる災害や事故
偶然な事故 | 火災、破裂・爆発、水濡れ、物体の落下・衝突、騒じょう、盗難、破損・汚損 |
自然災害 | 落雷、風災、ひょう災、雪災、水災 |
近年の災害発生状況から、自然災害に備える火災保険の役割はとりわけ重要になっています。しかし火災保険には、住宅ローンを組むときや賃貸住宅を借りるときに流れ作業のように加入することが多いもの。どのような内容で契約しているのか、把握していない人も少なくありません。
多くの人は代理店を介して火災保険に加入しますが、最近はネットを介して加入するダイレクト火災保険も提供されています。おおむね、代理店が提供する火災保険は複数の補償が束ねられた複数のパッケージから商品を選択し、ダイレクト火災保険は契約者が自身で補償を選択するしくみとなっており、この点が大きな違いといえます。
補償を絞り込んだ結果として、ダイレクト火災保険で保険料が安くなることもありますが、同水準の補償であれば、代理店とネットの保険料におおむね大差はありません。
いずれで加入する場合でも、どのように契約するかが保険料を抑えるポイントです。以下で、その3つのポイントと試算結果を見てみましょう。