【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─銘柄選別で重視すべきは「割安」より「稼ぐ力」!
●日本株7連騰の立役者は、やはり海外投資家か?
日経平均株価が7連騰。なんとも嬉しいことになっている。私はこのところ「東京市場は底堅い。押し目買いでよい」――こう繰り返してきたものの、7連騰まであるとは思いもしなかった。
日経平均株価は時々、7連騰はする。その場合、背景にあるのは大抵、海外投資家の買いだ。今回もその可能性が高い。前回の原稿では7月第1週(7月4-8日)に海外投資家が1兆1890億円(現物と先物の合計)を買い越したと指摘した。
第2週(11-15日)は1867億円の売り越しだったが、日経平均株価が上昇基調を鮮明にした第3週(19-22日)は買い越したのではないか。米国市場も落ち着きを取り戻しつつあり、それが26~27日に米連邦公開市場委員会(FOMC)開催を控える中での動きであることを考えると、興味深い。
米国市場は最近まで7月のFOMCで0.75~1%の利上げを予測して不安定な動きになっていた。大勢は0.75%予想ではあったものの、なかに1%引き上げ説もあり、それに大きく反応していたのはご承知の通りだ。
しかし、ここにきて「1%の引き上げが適切」との主張はほとんど聞かれなくなっている。
背景にあるのは、住宅着工件数の減少。19日に明らかになった米国の6月住宅着工件数は年率換算で前月比2%減の155.9万戸と市場予想(158万戸前後)を下回った。
市場はこれを見て、米連邦準備制度理事会(FRB)は金利を1%引き上げることはない。もしかすると0.75%もないのではないか。こんな期待感を持ったと見てよい。
それともう一つ。毎週発表される新規失業保険の申請者数だ。これが増加しているのだ。21日に発表された16日までの1週間の申請件数(季節調整済み)は前週比7000件増加し、25.1万件だった。増加は3週連続だ。
これは投資家にとっては嬉しい増加となるが、FRBにとってはそうではない。米国では中央銀行は、物価だけでなく雇用の安定にも責任を負うことになっているからだ。
日銀は物価の安定だけに注力すればよいが、FRBはそうはいかないため、失業保険の申請件数には神経質にならざるを得ない。
そこでどうするか。今回のFOMCでは金利を1%引き上げることはなく、0.75%にとどめ、楽観的にみるなら0.5%の引き上げで済む可能性もある。
市場のこんな思惑の交錯は正直、妄想合戦のようなものながら、株価はそれで動くのだから無視はできない。
●企業価値の向上・好転が見込める銘柄を!
こんな状況への対応策として私がお勧めしたいのは、実にオーソドックスながら企業価値の向上・好転が見込める銘柄への投資になる。企業価値は英訳すると「Value(バリュー)」になり、そうなると割安株ということになってしまう。もちろん割安であるに越したことはないが、私が「割安」より重視するのは「企業価値=稼ぐ力」。これが伸びており、今後もそれが続く可能性の高い銘柄になる。
具体的には、まずはメニコン <7780> [東証P] がある。コンタクトレンズに強い会社だが、素晴らしいのは売上の半分前後が月額定額の会員たちの購入に支えられていること。当然、収益の安定性は高く、株価もすでに高いが、目先一服はあっても、さらなる高値が見込める。
高級ヘルメットで世界首位のSHOEI <7839> [東証P]も、高いブランド力から収益を伸ばし続けている企業。ヘルメットも格好よくて高級感のあるものが好まれるのは当然であり、今後も需要の堅調な拡大は必至だ。ただ、株価の値動きはスローだ。
ERP(企業経営の基本となる資源であるヒト・モノ・カネ・情報を適切に分配し、有効活用するシステム)分野の独自システムの提供で知られるビジネスエンジニアリング <4828> [東証P]も、収益を安定的に伸ばし続けている。専門性が高いため、市場での人気は高いとはいえないものの、株価の上昇余力はまだ十分といえる。
ネット接続サービスを手掛け、クラウド、セキュリティ分野での信頼性が非常に高いインターネットイニシアティブ <3774> [東証P] も企業から寄せられる信頼感は非常に高く、収益の伸びも堅調そのもの。ほぼ死角がない。
意外に思われるかもしれないが、ウェザーニューズ <4825> [東証P] は民間気象情報会社としては世界首位だ。海運、鉄道、航空分野での展開力は他社の追随を許さぬほど。一度顧客になったらまず離れることはないだけに収益の安定性が高く、株価も期待が持てる。
最後に医薬品株を。滋養強壮剤「へパリーゼ」で知られるゼリア新薬工業 <4559> [東証P] だ。消化器系に強く、潰瘍性大腸炎薬「アサコール」の海外での需要が好調だ。
2022年7月22日 記
株探ニュース