明日の株式相場に向けて=「メタバース関連」再び

市況
2022年7月26日 17時00分

きょう(26日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比44円安の2万7655円と続落。FOMCをあすに控え、日米の株式市場ともに目先はどうにも動きが取れない状態にある。FOMCでは0.75%の利上げが濃厚視され、マーケットもこれを織り込んでいる。したがって、FRBが目の色を変えて1%の利上げを強行するような大鉈を振るうことでもない限り、波乱要素は乏しいようにも思えるが、やはりマーケットは会合後のパウエルFRB議長の記者会見の方を気にしているのだ。9月以降は量的引き締め(QT)も本格化するなかで、米景気見通しについて、パウエル氏がこれまでの見解に修正を加えてくるのかどうか。ソフトランディングかリセッションか、その瀬戸際で投資家心理も揺れている。

模様眺め相場とはいうが、きょうの東京市場はその典型だった。日経平均は朝方こそいったん下値を探る動きをみせたものの、押し目には自然と買いが群がってくる形で持ち直し、前日終値近辺までくると不思議と上値を買う動きがピタッと止まる。前日終値を小幅に下回る水準に張り付いた状態で時間のみ消費していく展開。しかし、売り買い拮抗という表現も当たらない。閑散商いが続くなか、夏枯れの様相を呈した。

ただ、小型株をピンポイントで物色する動きは意外に活発であり、これは全体指数を眺めていただけでは分からない。個人投資家に土俵を貸しているような相場だ。ネット証券大手によると、個人投資家の信用評価損益率は直近データでマイナス8%強と6月下旬のマイナス14%台から改善傾向を強めている。ただし、これはプライム、スタンダード、グロース市場全部を合わせた数値で、日経平均が前週末まで7連騰で2万8000円近くまで一方通行の戻りを演じたことを考えれば、半ば当然といえなくもない。だが旧マザーズ市場銘柄に特化した場合の評価損益率は、何とマイナス26%台であり、全く異なった風景が見えてくる。旧マザーズ銘柄は依然として追い証多発の危険水域を脱していないのだ。

ところが同証券によると、「追い証が発生するような気配は今のところみられない」という。これは4月以降の新興銘柄急落に際し、大方は持ち株を整理した後で「今は急を要する売り玉自体があまりない状態」(同)ということも関係している。つまり旧マザーズ市場の銘柄群は枯れ切った野原のような状況に置かれている。むしろ出遅れている中小型株を狙うのであれば、日経平均の上昇が一服した今はかなり有力なタイミングともいえる。決算発表本格化を前に、駆け込み的ではあるがテーマ買いの潮流に乗る好機だ。

そして、きょう投資マネーが流れ込んだ入り江はメタバース 関連である。グローバルな経営コンサルティングファームとして知られる米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が新規事業を創出する研究拠点を日本に設立したことが報じられ、その際に超高齢化社会が進む日本でメタバースの活用を模索する方針が伝わった。一方で国内大手金融機関がメタバースを活用した決済サービスを検討しているという報道もあり、関連銘柄の株価もにわかに色めき立っている。

IMAGICA GROUP<6879>が大幅高で年初来高値を更新、ついでにと言っては何だが昨年11月下旬につけた881円の高値もまとめてクリアする強さをみせた。このほか、クリーク・アンド・リバー社<4763>は最高値更新、フィールズ<2767>は6連騰で4ケタ大台乗せ。更にANAP<3189>、エムアップホールディングス<3661>、ブイキューブ<3681>、モバイルファクトリー<3912>、ガーラ<4777>、ディー・エル・イー<3686>、エスユーエス<6554>、ユークス<4334>などが一斉に上値を指向した。株価位置的にまだ出遅れているものでは、ホットリンク<3680>が面白い存在。また、ANAPの連想で株価低位の夢展望<3185>などにも目を配っておきたい。

あすのスケジュールでは、5月の景気動向指数改定値が午後取引時間中に内閣府から発表される。また、この日は7月の権利付最終売買日となる。国内主要企業の決算発表では信越化学工業<4063>、ファナック<6954>などがある。海外では、1~6月の中国工業利益、4~6月の豪消費者物価指数(CPI)、6月の米耐久財受注額(速報値)、6月の米仮契約住宅販売販売指数。また、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見が予定される。米主要企業の決算発表では、ボーイング<BA>、メタ・プラットフォームズ<META>、クアルコム<QCOM>、ラムリサーチ<LRCX>などにマーケットの関心が高い。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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