【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─逆境に負けぬ、夏枯れ知らず株にシフト!
「逆境に負けぬ、夏枯れ知らず株にシフト!」
●極端な米金融引き締め懸念が後退
心配のタネだった米国の政策金利引き上げ幅が決まった。0.75%。大方の予想通りであり、一安心だ。一時は1%の引き上げ説もあっただけに、歓迎できる決定だった。
ただ、2カ月連続の0.75%引き上げは、タカ派的だ。そのため、景気後退(リセッション)を招くのではないかとの見方も出てきているが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は「それはない」と言明している。
それはそうだろう。中央銀行がリセッションのリスクがあると分かりながら大幅な利上げを断行することなどあり得ないからだ。
どんな政策に対しても、市場にはいつも肯定論と否定論がある。どちらが正しいかは終わってみなければ分からないが、いまはどこの中央銀行も、日本のバブル崩壊を金融政策の失敗例として参考にしている。
極端な引き締めを行うと、その結果がどうなるかは「1+1」が「2」であるのと同様、分かりきったことなのだ。そのため、インフレ抑制にタカ派的であったとしても、極端な引き上げはしないと見てよい。
●インフレにも、コロナにも、夏の暑さにも負けない銘柄
しかも、すでに6月の引き上げで米国経済には少し影響が出ている。失業保険の申請者数は増加傾向にあるし、住宅着工件数は大きく落ち込んでいる。28日に発表された4-6月期の実質国内総生産(GDP)は前期比0.9%減だった。1-3月期(1.6%減)から2四半期連続でマイナス成長となっていたのだ。
これらの数字は誰が見ても、米国経済が一時の過熱状態よりは減速しつつあることが分かる。こうなると、市場には景気後退(リセッション)に陥ると言い出す人が現れる。これは小雨が降り出すと「豪雨になる」と言い出し、雲の切れ間から日が差すと「日照りが続く」と言い出す人に似ている。
こんな状況のため、東京市場も一気高とは行かないもが、非常に好ましいのは次の連邦公開市場委員会(FOMC)開催が9月20日・21日になること。それまで1カ月と20日ほどもあるため、その間は米国の金融政策を巡って好悪材料は出にくくなる。その分、市場は動きやすくなるので、ここは夏枯れ知らずの銘柄を狙っていきたい。
具体的には、まずは猛暑と新型コロナウイルスの感染拡大により外出を控えて、モノの購入を宅配に頼る傾向が強まることから、アスクル <2678> [東証P]だ。私は駅周辺の文具店が相次いで閉店してしまったため、アスクルに文具品の配達を頼んでいるのだ。
しかし、最もよく利用しているのはアマゾン・ドット・コム<AMZN>。その配送を受け持っているファイズホールディングス <9325> [東証P]も株価は目先高くなっているものの、さらなる高値があると見ている。
今日は暑くなりそうだという日にも、近所の ゴルフ好きの知人は朝早くゴルフに出かけていく。ゴルフができない私には信じられないが、ゴルフファンには暑さなど関係ないようだ。ゴルフは熱心なファンが多いだけに、上昇一服のゴルフダイジェスト・オンライン <3319> [東証P]も再浮上が見込める。
コンサートなどの集客力も高まり、アーティストたちが元気だ。当然、アーティストに対するファンの関心も高く、歌手たちのファンサイト運営に強いエムアップホールディングス <3661> [東証P]も魅力的だ。
最寄り駅の前にはパチンコ屋があるのだが、暑さも何のその、ドアが開いた時に覗き見るといつも満杯にお客が入っている。そこで、フィールズ <2767> [東証P]だ。パチンコ・パチスロ機を中心に遊戯機に強く、「エヴァンゲリオン」シリーズなど人気タイトルを所有している。
少し地味な銘柄にも目を向けておこう。日東工業 <6651> [東証P]だ。電設資材のキャビネットに強く、業界首位だ。配電盤でも強いことで知られているが、部品供給不足で製品の製造販売が遅れていた。しかし、今期は持ち直しの方向にある上に、資本政策を見直し、今来期は配当性向100%を目標にすると発表している。
少々異色の銘柄を。アイ・ピー・エス <4390> [東証P]だ。フィリピンの海底ケーブル、CATV 業者に国際回線を提供している会社だ。同時にフィリピンでレーシック事業も展開していて、経営の積極性は高く評価できる。
以上、「雨ニモマケズ」の宮沢賢治ではないけれど、「夏の暑さにも、コロナの感染拡大にも、インフレにも負けない」銘柄とつき合っていきたい。
2022年7月29日 記
株探ニュース