ベアマーケットラリー第2弾?いつまで乗車すべきか/後場の投資戦略

市況
2022年8月5日 12時18分

日経平均 : 28131.87 (+199.67)

TOPIX  : 1943.92 (+13.19)

[後場の投資戦略]

本日の日経平均は想定外の強さで、これまで何度も押し返されてきた28000円を大きく突破。前日の米株式市場でハイテク・グロース株が続伸したほか、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が1%近く上昇し、国内でも半導体関連で好決算が相次いだこともあり、関連の値がさハイテク株が指数を押し上げている。今晩の米7月雇用統計を前に本日は様子見ムード一色で、動意薄の展開を想定していたため、意外感のある上昇だ。

7月半ばからのハイテク・グロース株を中心としたリバウンドが想定以上に続いている。それまで悲観的な見方が多かっただけに、過度な悲観の修正が長期化しているようだ。機関投資家の株式組み入れ比率が歴史的にかなり低い状況にあった中、想定以上に上昇が続いていることを受けて、慌てて買い戻しに転じている投資家が多いのかもしれない。今晩の米7月雇用統計では、雇用者数の伸びと平均賃金の伸びで共に減速が見込まれている。予想通りとなれば「インフレピークアウト・利上げ減速」への期待に拍車がかかり、相場の上昇に一段と弾みがつく可能性がある。そうしたシナリオを想定し、イベント前に急いで買い戻している背景もありそうだ。

ただ、依然として足元の上昇についてはベアマーケットラリーに過ぎないとの見方が多い。ブルームバーグの報道によると、株式相場の最近の順調な持ち直しは長続きしないと、ゴールドマン・サックス・グループとサンフォード・C・バーンスタインのストラテジストが警告したという。また、「世紀の空売り」で有名になった投資家のマイケル・バーリ氏が、市場に「愚かさ」が戻ってきたとツイートしたことも話題になっている。

前日の英国金融政策委員会では、27年ぶりとなる0.5ptの利上げがほぼ満場一致で決定された。イングランド銀行(中央銀行)のベイリー総裁は、次回9月以降の会合ではあらゆる選択肢を検討するとし、「インフレを2%の目標に回帰させることが引き続き絶対的な優先事項であり、問答無用だ」と強いコメントを発した。さらに驚くべきは、インフレと景気の見通しだ。6月時点で前年比+9.4%と40年ぶりの高い伸びにまで加速している同国の消費者物価指数(CPI)について、中銀は前回6月の政策発表時にはインフレのピークは今年10月頃で、11%強と予想していた。しかし、今回は、ピークが13.3%になる見通しと大幅に引き上げ。また、今年10-12月期には景気後退(リセッション)に入り、来年末まで5四半期連続でリセッションが続くという。

このように欧州では完全にスタグフレーション(物価高と景気後退の併存)が現実ものとして台頭してきた。米国では7月ISM非製造業景気指数の改善などもあり、足元で景気後退を避けつつインフレ抑制に成功するのではという、ソフトランディング(軟着陸)への期待が俄かに高まっているが、先行き不透明感は依然としてかなり強い。今晩の米雇用統計後には、更なる買い戻し加速によるベアマーケットラリー第2弾が待っているのかもしれないが、いつまでこの上昇相場に乗っているべきか、気をもんでいる投資家は多いだろう。(仲村幸浩)

《AK》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.