【植木靖男の相場展望】 ─成長株の戻り基調は不変
「成長株の戻り基調は不変」
●売り買い拮抗のなか、ナスダックが示唆するものは?
東京市場は膠着状態に入っている。とはいえ、すでに10日以上に及ぶ。そろそろ日柄的には限界とみられる。
なぜ膠着状態になるのか。いうまでもなく売りと買いの勢力が拮抗しているからだ。売り方にも買い方にも、それなりの理屈があるからだ。
6月以降、原油市況が急落。つれて銅、ニッケルなど、これまで急騰していた国際商品はほぼ軒並み価格低下をみせている。おそらく高インフレはもうピークを打ったに違いない。となれば、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締めは秋には緩むはず、と買い方は読む。株価には強気である。
だが、売り方は警戒する。FRB高官は引き続き金融引き締めの必要性を訴えている。そもそも世界的なインフレの原因は、財政ファイナンスの拡大でおカネを刷り過ぎたことにある。ジャブジャブ状態であれば通貨価値は低下し、逆にモノの価値が上昇する。おカネを回収しない限りインフレは収束しないと読む。
だから、売り方はいま株価が上昇しているのはマニピュレーション、つまり株価操作だと決めつける。高値で買いついた株式を逃げるための操作だろうという。
このように悲観、楽観が拮抗している。では、どちらが正しいのか。株価は正しく、正直である。仮に間違っていれば、日ならずして修正が入るのが常。つまり、株価の動きから判断すべきである。現状、米国株価、なかでもナスダック指数をみると、すでに底入れした感もある。戻り相場の肝とされる1万2000ポイントを突破してきた。次の肝は1万4000~1万5000ポイントのゾーンをどう抜けるか。いずれにしても、もはや売り方が期待する大幅修正はなさそうである。
●6月高値を上抜く日は近い
こうしたなか、東京市場はどう動くのか。いうまでもなくこれまで「円安=株高」の構図をみせてきた。ここへきてドル円相場はドル急騰の反動で、円高、ドルインデックスの低下がみられるが、これは相場の綾(アヤ)とみてよさそうだ。米国長期金利の下げはほぼ一巡。このため、日米金利差は徐々に拡がるはずだ。
このようにみると、膠着状態にある日経平均株価は6月9日の高値2万8246円(終値ベース)を上抜く日も近いとみる。となれば、次は3万円の大台が視野に入る。
では、それまでの道程では、どのようなセクターが主役を演じるとみればよいのか。
まず、つぎの点に注目したい。
(1)いまは戻り相場であるので、年前半大きく下げた銘柄の修正が期待される
(2)米国市場では圧倒的にナスダック指数が優位にある
(3)SOX指数が底入れのチャート型である
(4)年前半大きく下げた銘柄にも、好業績のものが少なくない
(5)ドル円相場の方向性は不変
以上からみる限り、成長株(グロース株)の優位性は強いと考えられる。こうした成長株の中から妙味の大きい銘柄をピックアップする。
まず、中低位株から東京精密 <7729> [東証P]に注目。半導体製造装置が好調。今23年3月期は売上・利益ともに過去最高を更新し、3期連続増配の見通し。
次にオプティム <3694> [東証P]はどうか。農業、製造業、医療など各分野でDX(デジタルトランスフォーメーション)技術を駆使。今23年3月期は2ケタ増収・営業増益へ。
最後はSUMCO <3436> [東証P]だ。人気の割に買いやすい株価だけに、かえって相場になり難いが、今22年12月期に続いて来23年12月期も大幅増益か。
2022年8月5日 記
株探ニュース