為替週間見通し:底堅い値動きか、FRBは金融引き締め方針を堅持へ
【今週の概況】
■9月0.75ポイントの米追加利上げ観測でドル買い強まる
今週のドル・円は堅調推移。週前半は、中国の7月小売売上高や鉱工業生産の伸び縮小、人民銀行の予想外の利下げを受けて世界経済の大幅な減速を警戒したドル売り・円買いが観測された。ドル・円は一時133円を下回った。しかしながら、米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨(7月開催分)を巡る思惑でドル買い・円売りが優勢となった。8月17日に公表された議事要旨では、「利上げペース減速が適切との認識で一致」との見解が盛り込まれていたが、「政策金利見通しは経済データ次第」との見方は変わらず、ドル買いは一時後退したが、セントルイス連銀ブラード総裁が「9月FOMCで0.75ポイントの利上げ支持に傾いている」と伝えたことから、ドル買い・円売りが急加速した。
19日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時137円23銭まで買われた。9月連邦公開市場委員会(FOMC)で3会合連続の75ベーシスポイントの利上げ確率が上昇し、日米金利差拡大観測に伴うドル買い・円売りが活発となった。ドル・円は136円91銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:132円56銭-137円23銭。
【来週の見通し】
■底堅い値動きか、FRBは金融引き締め方針を堅持へ
来週のドル・円は底堅い値動きか。米減速懸念は根強く、低調な経済指標を手がかりにドルへの下押し圧力が見込まれる。ただ、9月20-21日に開催される次回連邦公開市場委員会(FOMC)の会合でも0.75ポイントの追加利上げが行われるとの観測が台頭しており、目先的にリスク回避的なドル売り・円買いは縮小するとの見方が増えている。
また、8月26日に行われるパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演は、有力な手掛かり材料になるとみられている。米カンザスシティー地区連銀主催の経済シンポジウムが8月25-27日に開かれる。世界経済の先行き不透明感が深まるなかで主要中央銀行の政策対応が注目される。パウエルFRB議長は8月米雇用統計やインフレ関連指標などを挙げ、今後の金融政策は経済データ次第と強調する見通し。ただ、物価の高止まりが続くため引き締め姿勢を堅持するとみられ、金利先高観からドル買い・円売りの流れが続くことになりそうだ。日本銀行は現行の金融緩和策を長期間堅持するとみられていることもドル買い材料となる。
【米・7月個人支出】(26日発表予定)
26日発表の米7月個人支出は6月実績を下回る見込みだが、市場予想を下回った場合、FRBの引き締め方針を緩める可能性があることから、金利高・ドル高は限定的となりそうだ。
【ジャクソンホール経済シンポジウム】(25-27日開催予定)
米カンザスシティー地区連銀主催の経済シンポジウムでは、世界的なインフレ下での金融引き締めが共通テーマとなりそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が26日に講演を予定しており、その場で景気への配慮が示された場合は金利安・ドル安を誘発しよう。
予想レンジ:135円50銭-138円50銭
《FA》