第1四半期で絶好のスタート!上値期待膨らむ「上方修正有望」6銘柄選抜 <株探トップ特集>

特集
2022年8月22日 19時30分

―4-6月期決算出揃う、物色機運高まる小型株から“絶好調&高進捗株”リストアップ―

3月期決算企業の23年3月期第1四半期(4-6月)決算発表が先週までに一巡した。4-6月期は、原材料価格の高騰や中国ロックダウンによる部品供給不足の影響などで、製造業を中心に苦戦を強いられた企業が目立ったものの、全体では半数以上が経常利益段階で前年同期を上回る堅調な決算となった。為替の急速な円安進行が海外売上高比率の高い企業に強力な追い風となったほか、コロナ禍からの経済正常化が進んだことで運輸関連などの業績が大きく持ち直した。

今回は第1四半期(4-6月)に大幅増収増益と絶好のスタートを切った企業のなかから、第1四半期業績の通期計画に対する進捗率が高く、業績上方修正が期待できる割安有望株を探った。

●4-6月期は逆風強まるも底堅さみせる

19日までに4-6月期決算を発表した3月期決算企業2249社を集計したところ、経常利益(米国会計基準と国際会計基準は税引き前利益)の合計額は前年同期と比べ17%減少し、直前の1-3月期に続いて減益となった。ただ、多額の投資損失や為替差損の計上で3兆円を超える巨額赤字に陥ったソフトバンクグループ <9984> [東証P]を除くと10%の増益に転じる。

業種別にみると、新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動制限の緩和で人の移動が活発化し、利用客が戻った鉄道や空運の業績回復が顕著だった。また、海運は旺盛な輸送需要、総合商社大手は資源高が続いたことで四半期ベースの最高益を更新するものが相次ぐなど、非製造業に業績を伸ばす企業が多くみられた。一方、トヨタ自動車 <7203> [東証P]をはじめとする自動車関連や化学、食品メーカー、電力会社などは原材料価格の高騰が重くのしかかり、減益決算が目立つ。ただ、4-6月期の売上高は全体の8割近くが増収を達成しており、外部環境次第では今後増益に転換する企業が増えてきそうだ。

こうしたなか、ここでは足もとで物色が活発化している小型株に注目し、時価総額1000億円未満の3月期決算企業を対象に(1)4-6月期経常利益の通期計画に対する進捗率が35%以上、(2)4-6月期に大幅増収増益を達成、(3)予想PER(株価収益率)が過去3年平均値を下回っている、といった条件を満たす6銘柄を紹介していく。

●国際紙パルプは海外M&Aで業績変貌、割安な指標も注目

国際紙パルプ商事 <9274> [東証P]は紙商社の海外大型M&Aによって業績を急拡大させている。2019年にオーストラリア大手のスパイサーズ、20年に欧州トップのアンタリスをそれぞれ買収し、22年3月期の売上高は5634億1400万円と紙商社で事業規模が世界3位に浮上した。利益も大きく伸びており、高収益体質に変貌を遂げている。足もと4-6月期(第1四半期)の業績は欧州やオセアニアの紙部門を中心に海外事業の収益が急拡大したほか、国内では古紙の販売やパルプの中国向け輸出が好調だった。経常利益は48億1800万円(前年同期比2.7倍)と第1四半期実績だけで通期計画(94億円)の半分超の利益を稼ぎ出しており、大幅増額修正が期待される。好決算を受けて株価は急騰したが、指標面では予想PER6倍台、PBR0.8倍近辺と依然として割安感は強く見直し余地は大きい。

●ペガサスは業績絶好調で一段の上振れに期待

工業用ミシン大手であるペガサスミシン製造 <6262> [東証P]の4-6月期業績は、経常利益が11億9800万円(前年同期比4.6倍)に拡大し、四半期ベースの過去最高益を5年半ぶりに更新した。世界的に好調なアパレル需要に伴う活発な設備投資を背景に工業用ミシンの販売が大幅に増加したほか、原価改善や為替の円安進行も利益を押し上げた。好調な業績を踏まえ、早くも通期計画を上方修正したものの、第1四半期実績の修正した予想値に対する進捗率は5割を超えており、一段の上振れが視野に入る。あわせて想定為替レートを1ドル=120円(前回は110円)に見直したが、137円前後で推移する実勢レートとはなお開きがある。予想PER12倍前後、PBR0.8倍近辺と株価指標に割高感がなく、また信用倍率は0.5倍台と売り長で、需給面からも上値が期待できそうだ。

●santecは海外売上高比率7割で円安の恩恵も

santec <6777> [東証S]は光技術を応用した光通信用の部品や検査装置などの光デバイス製品をグローバル展開している。海外売上高比率が約7割を占めており、為替の円安傾向は追い風となる。4-6月期業績は、半導体用シリコンウエハーの膜厚検査システムや白内障手術前の検査に用いられる光学式眼内寸法測定装置の販売が好調だった。また、昨年10月に買収した光測定器を手掛ける2社の業績上積みに加え、円安効果なども寄与し、売上高31億8800万円(前年同期比89.2%増)、経常利益10億7900万円(同3.4倍)といずれも大きな伸びを示した。経常利益は第1四半期実績だけで通期計画に対して5割近い進捗を示す。また、想定為替レートを1ドル=115円と実勢より20円以上も円高に設定しており、業績上振れが有力視される。

●新光商は2年連続で10月に上方修正、株主還元妙味も大きい

新光商事 <8141> [東証P]はルネサスエレクトロニクス <6723> [東証P]製品を主軸とする独立系の電子部品・半導体商社。足もとでは電子部品需要が拡大するなか、産業用ロボットや半導体製造装置メーカーからの引き合いが旺盛だ。4-6月期は主力の産業機器や車載機器、OA機器関連向けの販売が好調に推移し、経常利益は前年同期比2.5倍の16億1400万円に急拡大して着地。通期計画(43億円)に対する進捗率は37.5%に達する。ここ2年連続で10月に上方修正した経緯があり、今年も増額が期待できそうだ。また、6月から450万株(発行済み株式数の12.47%)または30億円を上限とする大規模な自社株買いを実施しているほか、25年3月期までの中期経営計画で配当性向50%を目標に掲げるなど、手厚い株主還元も注目したい。

●アイロムGは主力の治験支援で大型案件が進捗

アイロムグループ <2372> [東証P]は医療機関の治験などの業務をサポートするSMO(治験施設支援機関)の国内におけるパイオニア的存在だ。医薬品開発ニーズの高いがん・難治性疾患の臨床試験が増加するなか、がんセンターや大学病院などの基幹病院との提携を拡大し、支援実績を伸ばしている。4-6月期業績は売上高47億9200万円(前年同期比41.4%増)、経常利益14億3200万円(同3.3倍)と業績高変化を遂げた。SMO事業で前期と今期に受託した大型案件が順調に進んだほか、先端医療事業ではiPS細胞培養上清液を原料として使用した製品のOEM(受託製造)の引き合いが強かった。第1四半期経常利益の通期計画(30億円)に対する進捗率は47.7%と高水準にあり、業績上方修正への期待が膨らむ。

●リケンテクノは低PER・低PBR・高配当利回りの3拍子揃う

リケンテクノス <4220> [東証P]はコンパウンド(複合材料)、フィルム、食品包材を3本柱とするプラスチック素材メーカー。ワイヤーハーネスの被覆材や成形部材に使う自動車分野をはじめ、医療器具や生活資材、電線、建築・建設など幅広い領域に事業展開している。4-6月期業績は、コロナ禍からの影響から回復した海外自動車市場向けコンパウンドやエレクトロニクス部門を中心に大きく伸びた。原材料価格は高騰したものの、トップラインの拡大や円安効果などで吸収し、経常利益は24億6100万円(前年同期比36.8%増)と四半期ベースの過去最高を記録した。指標面では予想PER10倍弱、PBR0.5倍台と割安水準にある一方、配当利回りは3%を大きく上回っており、株価の水準訂正余地は大きいとみられる。

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