10億円達成のもう1つ要素、「柔軟力」で大暴落後の反発に乗る!
第28回 日本株&アメ株で勝つ人~個人投資家4800人の調査で判明!
(億り人・バガー投資家・松本哲夫さんの場合その2)
専業投資家歴は40年以上、獲得したリターンは10億円を超える億り人。航空自衛隊入隊後に医学部に挑戦中、父が毛糸相場の営業に引っかかり、財産のほとんどを失いかける窮地に陥る。松本さんが交渉し、財産を取り戻したことで、家族の資産運用を任されたことが投資家としての道を歩み始めるきっかけとなった。1980年代後半のバブル経済の頃には運用資産は2億円に到達。その後、平成バブルの崩壊や2008年のリーマン・ショックも通過し、以後は右肩上がりで資産を膨らませてきた。投資スタイルは割安成長株への長期・分散投資と配当金の再投資。60代で初めて結婚の後、配当収入は3倍に増え、マイホーム取得と、幸運が続く。写真は愛犬のエルザ。
前回記事「投資歴40年超で、資産10億円&配当収入4000万円を築いた『鈍感力』」を読む
「鈍感力」を駆使し、長期投資で10億円以上のリターンを稼いできたのが専業投資家の松本哲夫さん(以下、松本さん)だ。
平成バブル崩壊やITバブル崩壊、リーマン・ショックなど、先が読めない株式相場を40年以上も生き残ってきた原動力の1つが松本さんの持つ「柔軟力」。
割安成長株狙いという一本の軸を保ちながらも、テーマやイベントが業績に貢献する銘柄を臨機応変にポートフォリオに組み込むことで、荒れた相場でも安定したリターンを獲得してきた。
今回はコロナショックを経て、新たにポートフォリオに組み込んだ銘柄と今後の投資戦略をベースに、「柔軟力」をどのように投資に反映させてきたのか、そして投資を始める原点にもなったエピソードを紹介していく。
コロナ以降は「不動産」・「コモディティ」・「ポストコロナ」に注目
松本さんの軸となる投資スタイルは割安成長株への長期投資だ。リーマン・ショックなど幾度ものショックを通過しても、保有した銘柄を20年以上1度も売らずに保有するほどのブレない投資姿勢によりリターンを伸ばすことに成功した。
一方で、時にはテーマや環境の変化によって収益環境に追い風が吹く銘柄をポートフォリオに取り組むことで安定したパフォーマンスを目指すといった一面もある。コロナ禍以降の経済状況を反映すべく、足元でポートフォリオに組み込んだのが
① 不動産
② コモディティ
③ ポストコロナ
の3つのテーマに関わる銘柄だ。
不動産はインフレ下で注目されやすいセクターの1つ。新型コロナ対策として実施した大規模な金融緩和策と経済活動の再開による需要の回復により、米国では40年ぶりのインフレを記録。食料品の値上げなど日本も物価上昇が加速している。
インフレ時は現金の価値が目減りするが、一方で物価の上昇とともに価値が高まる不動産に投資の目が向きやすい。また、資源価格の高騰により不動産価格が押し上がり、不動産デベロッパーにとっては売却益の上昇に繋がる。
好業績から不動産セクターの株価も好調な推移を続けており、22年8月24日終値時点では、東証業種別株価指数の「不動産」は昨年末比+10.6%と、TOPIX(東証株価指数)のパフォーマンスを大きく上回っている。
■三井不の日足チャート(21年12月下旬~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
こうした足元の環境を反映し、1月頃にポートフォリオに組み入れたのがビル賃貸を主力とし、商業施設なども展開する三井不動産<8801>だ。業績もコロナ禍前を回復し、2023年3月期は過去最高益を更新する見通しとなっている。
22年3月下旬には同社を含め10社が協力して日比谷公園を中心とした都心最大級の再開発を発表しており、松本さんは同社の企画力を高く評価。株価も右肩がりに上昇しており、現在は30万円ほどの含み益となっている。
■『株探プレミアム』で確認できる三井不の通期業績の長期の成長性推移
同じくオフィスビル等の不動産賃貸事業を中核とするヒューリック<3003>も同時期に買い増した企業の1つ。都内・駅近に好物件を数多く所有しており、特に日本有数の商業地である銀座エリアへ重点を置いている。
松本さんは以前から都心かつ好立地なオフィス賃貸に注力する同社のビジネスモデルを高く評価。また、賃貸不動産に特化していることで建設業界の人手不足や高齢化による人件費の高騰などの影響を受けづらい点も魅力となった
継続的な安定収入によりコロナ禍でも増益トレンドを崩していないこともポイントと評価し、同社株を1000株買い増した。同社は今後の成長を大きく期待している銘柄の1つだという。
■『株探プレミアム』で確認できるヒューリックの通期業績の長期の成長性推移
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