大塚竜太氏【日経平均下げ止まるも上値重い、ここでの戦略は】(1) <相場観特集>
―波乱含みの米株横目に要警戒の9月相場とどう向き合うか―
週明け5日の東京株式市場は日経平均株価が前場は軟調な推移となったものの、後場に入ると押し目買いで小幅プラス圏に切り返す場面もあった。足もとで下げ止まる動きをみせているが上値の重さも拭えない。9月相場は始まったばかりだが、ここからどういうスタンスで相場と向き合えばよいのか。第一線で活躍するベテラン市場関係者2人に今後の見通しと投資対象などについて意見を聞いた。
●「買い場到来、押し目買い好機に」
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
全体相場はここ下値模索の動きを続けているが、目先売り飽き気分も出てきている。日経平均の2万7000円台半ばは値幅的には調整十分といってよく、PERなどを考慮してここからの下値不安は限定的とみている。ここは押し目買いの姿勢を貫きたい。
米国株市場の動向がカギを握るが、特に今の相場で関心が高いのはグロース(成長)株の動向だ。その意味でナスダック市場の動きは日本株市場にも影響を与えやすく、当面注目しておく必要がある。ナスダック総合株価指数については軟調な動きを強いられてはいるが、日柄的にはそろそろリバウンドに転じてよい頃合いだ。テクニカル的には日足一目均衡表の雲に入ったところだが、ここを下抜けず切り返しに転じれば再び前方には“晴れ間”が広がっている。
9月の米国株市場はFRBの政策金利引き上げに加え、量的引き締め(QT)がこれまでの2倍の金額ベースとなることもあって弱気ムードが漂っている。しかし、それほど懸念する話ではないと考えている。現在のFRBの資産はリーマン・ショック前の10倍に膨らんでおり、その縮小はある意味当然であって、正常化に向けた動きに過ぎない。そのネガティブ要因よりも財政出動の効果の方がよほど大きく、11月の中間選挙を控えバイデン米政権は景気を失速させないための方策を早晩しっかりと打ち出してくると思われる。したがって、日米ともに今は買い場にあるとの見方でよいだろう。
日経平均の向こう1ヵ月のレンジは下値が2万7000円前後で、仮にイレギュラーで大台を割り込んだとしても、そこは積極買いで対処したい。上値は2万9000円近辺を想定している。投資対象としては日揮ホールディングス <1963> [東証P]などLNG関連や東急不動産ホールディングス <3289> [東証P]などリオープン関連をマークしたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。
株探ニュース